若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

列車事故

JR西日本の事故に関して、色々なことがわかってきている。

前にも紹介したが、某大企業で、長年工場事故防止に携わってきた方が書いていた。
「危険箇所を指摘しても、能率が落ちる、費用がかかると無視された。しかし、死者が出ればすぐに改善された」

気づいている人、声をあげる人はいても、人が死なないと事態は変わらない。

暴走するのは列車だけではない。
人も、組織も暴走する。

朝日新聞によれば、JR西日本は、「定時運行」を厳しく要求してきた。
当然だろう。

しかし、列車によっては、遅れるのが普通で、毎日何十秒か遅れる列車があるそうだ。
ラッシュで乗り降りに時間がかかるからだろう。
遅れるのが当然で、「定時」の決め方が異常なのだ。
できるわけないことを個人に要求する。
これが「組織」の強味だ。

仕事で知り合った営業マンが言った。
「会社は無茶苦茶要求しますからねー。しかし、無茶苦茶言われんと、私らも動かんからねー」
難しいところだ。

昔の日活映画、「明日は咲こう花咲こう」だったか、吉永小百合さんが紡績工場の女工役で出演していた。
彼女は真面目な工員で、がんばって大変たくさん糸を巻き取る。
他の女工から、あんまりがんばられると私たちが困る、と苦情が出る。
難しいところだ。

以前、テレビで見た工場では、管理者が、「この工程で一秒短縮!」と叫んで、笛を吹いて、秒数を計っていた。

すべてが現場の労働者に押し付けられている。
JR西日本は、この点を深く反省して、新たな「定時安全運行計画」を策定した。事故以来、その対応ぶりから、無責任、無反省と批判されてきたJR西日本の経営陣としては画期的なことである。

この計画では、「定時運行」の完全実現に向けて、乗客の責任を厳しく問うことにしている。
例えば、「7時10分発」の電車に乗りたい場合。
7時8分、駅員が笛を吹き、「当駅7時10分発列車乗車希望者整列!」と叫ぶ。
客は、7時9分までには駅員の指示に従い、ホームの所定位置で整列を完了。
7時9分の駅員の「整列完了」の笛の合図以降は列に入ってはいけない。

列車到着後、笛の合図で乗車。
駅員の指示に従わず、遅れの原因となった客には、反省文を書かせるなど、再教育を行う。

JR当局は、労働者、乗客一体となって民営化以後最大の危機を乗り切らねばならないと訴えている。