全日空機の胴体着陸映像を見た。
「事故」という感じがしないほどなめらかな着陸ぶりであった。
ああいう着陸もありなのではないかと思わせる。
乗客は死ぬ思いだっただろうが、機長は沈着冷静、すばらしい操縦だった。
しかし、いくらすばらしい操縦でも、インタビューで威張っていたのはどうかと思う。
「機長、みごとな胴体着陸でしたね」
「どうたい!」
「ええかげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!」
佐川急便のマークが変わるそうだ。
おなじみの飛脚のマークから、ユニフォーム姿の運転手が、荷物を抱えてさっそうとダッシュしている絵に変わる。
「おなじみ」と言っても、はっきりと覚えているわけではない。
たしか、昔は、「夫婦(めおと)飛脚のマークでおなじみの佐川急便」と言っていた。
トラックに「夫婦」が描いてあるのか、はっきり思い出せない。
中国をバイクで旅行した人が書いた文章を読んだことがある。
ゴビ砂漠だったかを横断した。
走っても走っても砂漠だ。
方向感覚も時間感覚もなくなる。
疲れ果てて、道路脇にバイクを止めて休んでいたら、はるか彼方に砂煙が見えた。
久しぶりの人の気配にうれしくなって近づくのを待っていた。
砂煙が見えてからかなりの時間がたって、トラックが見えてきた。
目の前を猛スピードで走りすぎたトラックを見て、ぼうぜんとなった。
なんと、飛脚のマークの佐川急便のトラックだった。
ゴビ砂漠に佐川急便!
ついに幻覚に襲われたのか!
帰国してから、佐川急便が古くなったトラックを中国に寄付しているという話を聞いて、幻覚ではなかったと安心したそうだ。