若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ジュウイチ

NHKTV「ダーウィンが来た!生き物新伝説」

見るたびに、不思議な動物がいるなあと感心する。
向こうに言わせれば、「あんたらの方が不思議やで」ということになるかもしれませんが。

今回取り上げたのは、カッコウの仲間のジュウイチという鳥だ。
カッコウの仲間は、他の種類の鳥の巣に卵を産みつけて育てさせる。
これを「托卵」という。

「托卵」は、おかしいのではなかろうか。
「卵を托す」というと、「ウチの子をお願いします」「おまかせください」という感じだ。

カッコウの仲間は、相手の善意にすがるわけでも好意に甘えるわけでもなく、すきを突いて無断で産み付けるのだ。
オレオレ詐欺に近い。

「偽卵」「詐卵」「錯卵」「混卵」というべきではなかろうか、と思っていたのだが、今回番組を見て驚いた。
自分の卵を産み付けるばかりか、相手の鳥の卵を放り出していた。
詐欺というより強盗に近い。

さて、ジュウイチである。
この鳥はひどい。
凶悪だ。

ジュウイチがオオルリの巣に卵を産みつけた。
それはまあ、大目に見よう。
オオルリの卵には手をつけないから、まだ許せると思ってみていたら、とんでもないことがおきた。

かえったばかりのジュウイチのヒナが、巣のなかのオオルリのヒナを、次々と外へ突き落とすのだ!
かえったばかりのヒナがですよ!
生まれつきの凶悪犯!

これは不思議がってる場合じゃない。
極悪非道残虐無比餓鬼修羅。
「自然」もクソもない。
許せない。

ジュウイチというのは鳴き声からきた名前らしい。
江戸時代の人は、その鳴き声を「慈悲心」と聞いて、「慈悲心鳥」と呼んでいたそうだ。
あほか。

「法法華経」と鳴くウグイス、「仏法僧」と鳴くブッポウソウと共に、日本三大霊鳥とされていたというのだから、江戸時代の人にもあきれたもんだ。

番組のホームページに、ディレクターの苦労談が出ている。
広大な森で、オオルリの巣を見つけるだけでも難しいし、また托卵されている巣を見つけるとなると、大変だ。

撮影の苦労はわかるが、「うまくいけば、数日で、周りの卵やヒナを突き落とすはず」とは不謹慎ではないか?
オオルリはどうなるのだ。

番組で、ジュウイチが産みつける隙を狙っている場面。
「あれは何をしてるんでしょう」
「托卵しようとたくらんでます」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにねっ!」