大阪市立美術館で開催中の岸田劉生展と、奈良県立美術館の磯江毅展を見てきました。
岸田劉生は「麗子像」などで有名ですね。
礒江毅(1954〜2007)は、「マドリードリアリズムの異才」と紹介してあります。
2002年に奈良県立美術館の「写実:レアリスム絵画の現在」という展覧会でこの人の絵を初めて見ました。
そのとき、いろんな現代の写実画家の作品がならんでて、その「写実」にびっくりしてたら、途中に小さな静物画が展示してあって、それにはびっくりのびっくりで、作者を見たら岸田劉生でした。
おぬし、できるな!という感じでしたね。
今回、同時期に「びっくり展」と「びっくりのびっくり展」が開催されるのも何かの因縁と、はしごすることにしました。
まず大阪市立美術館。
いつものようにJR天王寺駅で降りて、天王寺公園内の美術館に向かう道を歩いてたら、看板に気付いた。
「フェルメールの小経」
な、なぬ!?
この道、いつから「フェルメールの小経」になったんじゃ!
説明を読むと、数年前フェルメール展を開いたとき、60万人の客が訪れた。
それにちなんで「フェルメールの小経」と名付けたそうです。
えらいもんにちなみましたね。
まあ、60万人の内には私と家内も入ってるから、ちなんだっていいけど。
ちなんだっていいけど、これが「フェルメールの小経」ねえ・・・。
岸田劉生展、大勢の客で、といっても大半は中高年女性ですが、にぎわってました。
「麗子像」、意外にも不気味じゃなかったです。
あんまり「不気味だ」という先入観が強かったせいでしょうか。
現物を見ないとわからんもんです。
水彩の「麗子像」がすばらしかった。
水彩っていいなと思いました。
さて、常設展示場の方で、「特集展示:仏教美術」と「関西中国書画コレクション展」をやってました。
おもしろくなさそうだと思ったけど、岸田劉生展のチケットで入れるというので、見なければ損だとばかりにそっちも見ました。
岸田劉生展のにぎわいとうってかわってまばらな客のほとんどが高齢男性であった。
どれくらいまばらかというと、一室に二人くらいです。
くすんで何が描いてあるかわからないような絵や、どこにでもあるような仏像をボーっと見るうち、おお!と驚いた。
「国宝」「重要文化財」がぞろぞろうじゃうじゃならんでるではないか!
仏教美術には無知文盲無学無趣味の私でも、「国宝」「重要文化財」がお値打ち品であることくらいわかります。
そのお値打ち品がうじゃうじゃぞろぞろ!
岸田劉生展を見てるおばさまたちに、お〜い!こっちに国宝とか重要文化財とかぎょうさんおまっせ〜!と叫んで教えてあげたかった。
わっと押し寄せたんじゃないでしょうか。
大阪市立美術館も商売気がないですね。
「特集展示:仏教美術:なんと!今ならおトクな国宝10点重要文化財65点が勢ぞろい!」
これくらいはやってもいいんじゃないでしょうか。
「目玉」がないと客が集まらないというのもつらいですね。
「中国書画コレクション展」もじっくり見てしまいました。
関西の実業家たちが、コレクションを美術館に寄贈してるんですね。
これが、「印象派コレクション」とかだったらハデなんですが、「中国書画」となると非常に地味な扱いになってしまうのがつらいとこだと思いつつ美術館を後にしたのであった。