今の日本で、画家として頂点というと、芸術院会員とか文化勲章とかですかね。
昔のヨーロッパなら、「国王の画家」ですか。
国王の画家、頂点かもしれんけど、こわかったと思います。
気まぐれで残忍な国王に気に入られたら大変ですよ。
今でいえば、北朝鮮の最高指導者様に気に入られるような感じでしょう。
ルネサンスの巨匠ハンス・ホルバインの本を読んでます。
ホルバインは、イギリス国王ヘンリー8世に気に入られた。
ヘンリー8世は、6度結婚してますが、そのうち2人のお妃を処刑してます。
お気に入りだった重臣たちも次々と処刑してます。
その気まぐれ無比残虐無比のヘンリー8世に気に入られちゃった。
ホルバインの感想を聞いてみたいところです。
ヘンリー8世は、お妃候補者の肖像をホルバインに描かせるんです。
信頼してますからね。
描くの、大変だったでしょうね。
何人目かのお妃候補は、時の重臣トマス・クロムウエルが選んだ。
そして、ホルバインを派遣して肖像画を描かせた。
肖像画を見たヘンリー8世は気に入って、めでたく結婚ということになった。
で、やって来たお姫様を見て、ヘンリー8世はかっくんとなった。
似てなかった?
う〜ん、むずかしいとこですね。
私が描いたのなら、「似てなかったんだろう」ですみますが、ホルバインですからねえ。
真相はわからんが、とにかく王様は怒っちゃった。
一応結婚したけどすぐ離婚です。
その縁談を持ってきたトマス・クロムウエルは処刑!
さて、ホルバインの運命は?
だいじょうぶだったみたいです。
それほど気に入られてた。
ある伯爵が、ホルバインの言動に腹を立てて、王様にクビにしろと訴えたことがあるそうです。
ヘンリー8世は、いまいましそうに、「七人の百姓を七人の伯爵にすることはできるが、七人の伯爵から一人のホルバインも作れんじゃろが!」と答えたそうです。