若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

一柳彗さんのお父さんのチェロとB29の爆音

私たちの世代にとって、アメリカの爆撃機「B29」の名前はおなじみのものでした。

おとなたちから空襲の話をよく聞かされたからだと思います。

今朝の朝日新聞に、作曲家の一柳彗(いちやなぎとし)さんが、お父さんの思い出を書いてました。

お父さんはチェロの演奏家で、戦時中NHKで、チェロで「B29」の爆音を再現する仕事をしたことがあるというんです。

ナレーションに従って数人のチェロ奏者が、「ゴ〜ッ!」と弾いたんだそうです。

「B29の爆音はこんな音です。上空に来るとこんな音になりますので気をつけましょう。遠ざかるとこんな音になりますから安心してよろしい」というような番組だったようです。

空襲に対して大日本帝国がいかに国民の安全に気を配ってたかよくわかります。
爆撃機の爆音の音域とチェロの音域が似てるんだそうです。
そこに目をつけたというか耳をつけたというか、まあ、心にくいです。

一柳さんの思い出話を読んで、「うん?ひょっとして、あれはこれだったのか?」と思いました。

「あれはこれだったのか」では何のことかわからんでしょう。

我が家に、「敵機爆音集」という二枚組のレコードがありました。

ナレーションと爆音が入ってた。

ボーイングB17。高度2千メートル。ブ〜ン!」
ボーイングB17。高度3千メートル。ゴー!」

こんなんです。
子供心に、これはなんのためのレコードなのかと不思議に思いました。

これを聞いて、アメリカの爆撃機や戦闘機の音をおぼえてどうする?

機銃掃射を受けて逃げ惑いながら、「お!この爆音はカーチスP51!」とか。
いらんわ。

私は、「敵機爆音集」の「爆音」は、「敵機」の「爆音」だと思い込んでました。
今日にいたるまで何の疑問も抱かなかった。

しかし、一柳さんの思い出話を読んで、ムクムクと疑問がわき起こった。

あの「敵機爆音」もチェロだったんじゃないか。

考えてみればおかしい。

ボーイングB17が、ちょうど上空2千メートルを飛んでる時、マイクをもって録音したのか?
捕獲したB17があったのなら別ですが。

捕獲したアメリカの戦闘機と爆撃機を、高度2千メートルと、3千メートルで飛ばして録音したのじゃなくて、スタジオでチェロをガーガーの方に一票!