朝日新聞書評欄で作家の高任和夫という人が紹介している。
見出しが「戦後教育の欠陥を知り、日本人の倫理を問う」
小野三郎という人は、陸軍幼年学校、陸軍航空士官学校を経て新日本製鉄などで勤務され先ごろ亡くなった方らしい。
会社の要職にある後輩が小野さんに言った。
「私は先輩たちのあとを継いだのですが、どうしても先輩たちのようにはやれません。どうしてかと考えますと、旧制高校や陸士、海兵などの教育の違いではないかと思うのです」
著者が答える。
「我々の青春時代はいかに世のため人のために役立つ人間になるかだけを夢見ていた。いい意味でのエリート意識でいっぱいだった。そこにはエゴがなかった。戦後教育との違いはそれだけだ」
評者の感想。
「この後輩の推測は、戦後生まれの私にも良くわかる」
私の感想。
三馬鹿揃い踏み。
小泉首相や石原都知事が泣いて喜びそうな話だ。
私は、「ビジネスのサムライ」は知らないが、「大空のサムライ」なら知っている。
ゼロ戦のパイロット、「撃墜王」坂井三郎さんだ。
坂井さんは先の戦争で60機以上の米軍機を撃墜した人だ。
アメリカでも敵ながら天晴れな「大空のサムライ」として英雄扱いされていた方である。
坂井さんの「ゼロ戦の真実」という本を読んだ。
この本の半分は、坂井さんの武勇談だ。
半分は海軍に対する糾弾だ。
命がけで戦う非エリートのパイロット達が、海軍兵学校出身のエリートたちから差別され虫けらのように扱われたことに対する怒りだ。
戦後ある会で、海軍の将校だった人から「坂井君、海軍はいいところだったね」と言われて、「あなたたちにとってはそうだったでしょう」と答えたそうだ。
こんな話はどこにでも転がっている。
私は、昭和21年生まれなので、小学校で先生から、「戦前は」という話を聞かされたものだ。
掃除をしても「戦前はもっときれいにした」などと言われた。
遠足で法隆寺に行った時、落書きを見つけた先生は「戦前はこんなことはなかった」と言われた。
戦前の子はエラかったんだなと思っていた。
その後、親戚に行って近所の神社で「皇紀二千六百年」などと言う日付の落書きが大量にあるのを見つけて困惑したのであった。
小野さんは立派な人で、高任さんは書評をするには読書量不足。
悪いのは朝日新聞だ。
朝から腹立つ。