若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

リーマン・ブラザーズ破綻

会社はつぶれる。

子供のころから、そう思い続けてきた。
父は、戦前はサラリーマンで、戦後は一貫して、中小企業の経営者であった。
日本経済が安定するまでは、会社を作ってはつぶし、という感じだったようだ。

私が物心ついてからは、日本経済の安定とともに、父の会社はまあ、安定したといえるだろうか。
いや、日本経済が安定しようが、世界経済が安定しようが、会社はつぶれる。
去年だったか、『さおだけ屋はなぜつぶれないか』という本が評判になった。
あほかいな。
つぶれます。

子供時代の穏やかな我が家に、ときどき現れる暗雲、それが「得意先の倒産」であった。

私が布団に入っていると、父と母が小声で話している。
得意先の会社がつぶれたのだ。
そう何度も聞いたわけではないと思うが、こんな恐ろしい話はなかった。

会社はつぶれる。
頭に焼き付いている。

父にとって、銀行はカネを預けるところではなく、カネを貸してもらうところだった。

「天気のいい日に傘を無理やり貸して、雨が降り出すと取り上げる。それが銀行や」

これも何度も聞かされて、頭に焼き付いている。
商売人の常識なのだと思っていた。

バブル崩壊後、銀行の貸し渋りとか、貸しはがしが問題になった。
あほかいな。
おとうちゃんが言うてたとおりやがな。

ある金融機関主催の講演会を長年聞きに行った。
講師の一人は、マスコミでもおなじみの有名な大学教授だった。

「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」のころ、彼は、日本式経営がいかにすばらしいか教えてくれた。

系列という優れたシステムによって、長期的経営戦略をとりうる日本式経営の優秀さを力説して、アメリカの短期的視野の経営を批判した。
日本の金融システムも我がことのように自慢した。

バブル崩壊後の講演会で、彼は、系列などという家族的ぬるま湯に甘んじていてはダメだと主張した。
日本の金融機関のダメさ加減も他人事のように批判した。

アメリカの金融機関は、スゴイ!はずだった。
しかし、アメリカの会社も、つぶれます。

対岸の火事ではない。
日本経済への影響も大きい。
アメリカの、リーマン・ブラザーズも大変だが、日本のサラリーマン・ブラザーズも大変ですよ。