いろいろ本を読んでると、「ああ、こんな本を書いた人がいるんだ」とうれしくなることがあります。
この本の著者ジェイムズ・オーティスさんにもうれしくなりました。
アメリカの建国時代のことを、子供たちに知ってもらいたいという思いで、たくさん本を書いてます。
自分の本をきっかけに、歴史を学んでもらえたら幸いである、と言ってます。
空想を交えず、できる限り史実に基づいて書くという方針です。
100年前の本なので、英語がちょっと古いのが読みづらかったと言いたいとこですが、私には古いも新しいもわからないので気楽に読みました。
主人公のイギリス人の少年ピーターが、体験を語るという体裁です。
1600年代のはじめ、イギリスは宗教でもめていた。
国王が強制するやり方についていけないと思った人たちの中に、オランダに移住するグループがあった。
オランダは、宗教について比較的寛容であった。
ピーターの両親もそのグループの一員としてオランダのライデン市にわたり、ピーターはそこで生まれた。
生まれると同時に母は死に、8歳の時に父もなくなる。
父にしつけられたおかげで、何とか一人で生きていくことができるようにはなっていた。
自分にできる仕事は何でもして小遣いを稼いで、できるだけ人様のめいわくにならないように生きてきた。
周囲のイギリス人たちはいい人ばかりで、気を使ってくれたけど、子供のピーターにも、貧しいイギリス人たちにとって、自分がどれだけ重荷になるかくらいは理解できた。
イギリスからオランダにわたった人たちの中から、新大陸アメリカに行こうという人たちが現われた。
そして、その第一陣が、メイフラワー号に乗り組んでアメリカに渡った。
その後次々にアメリカに渡る人が出て、ピーターは一人オランダに残された。
天涯孤独になったピーターを哀れに思って声をかけてくれた人がいた。
オランダの西インド会社の隊長だった。
その人は、君みたいな男の子がオランダにいてもろくな仕事はないだろうから、自分の召使になってアメリカに行かないかと誘ってくれた。
なかなかうまい導入部です。
アメリカ大陸に渡ってからは、オランダ西インド会社の、インディアン相手のえげつないやり方の話が続きます。
スウェーデン人たちは、インディアンと友好的に取引して、対等に扱っていたと書いてます。
著者はオランダ人が嫌いなのかなと思いました。
そして、イギリスが攻めてきて、ニューアムステルダムがニューヨークになります。ピーターはオランダ人が住むニューヨークを出て、イギリス人のいるプリマスを目指すところで終わります。
面白くてためになる本でした。