若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『ボストンのルース』

ジェイムズ・オーティスの「少年少女アメリカ建国物語シリーズ」の1冊です。

この前読んだ『ニューアムステルダムのピーター』が、おもしろかったので買いました。

今回は、両親とともにロンドンから新大陸へ渡った12歳の少女ルースが語るお話です。

この、「イギリスから新大陸に行く」というのがまずわかりにくい。
行くのはいいんですが、理由が、「自分たちの信仰を貫くため」というのがわからん。
残った人のほうがずっと多いんだから、アメリカに行った人は、いわゆる「過激派」でしょうね。

一文無しの貧乏人ならまだわかりますが、かなりの資産家もすべてをなげうってアメリカに行く。

それもビジネスクラスで行くんじゃないですよ。

1630年3月22日、信仰を同じくする人々が、4隻の船でロンドンからサザンプトンに到着。
悪天候が回復するのを待って、4月8日、新大陸に向けて出発。

9週間の苦難の航海を終えて新大陸についた時には、病気と栄養不良のために、まともに働けたのは5人のうち1人というありさまだった。

ルースは、「新大陸とはどんなところかしら」と胸を躍らせてたんですが、船から見た新大陸が、イギリスの海岸と変わらないのでカックンとなります。

もう一つカックンとなったのは、目に入ったのが、イギリスの家みたいな立派な家じゃなく、みすぼらしい丸太小屋ばかりだったことです。

そこは、前の年にイギリス人たちが作ったセーレムという町だった。
家はみすぼらしかったけれど、道路は広くて大きかったので、いずれ立派な街にするつもりなんだなと思った。

ルースたちの一団は、セーレムから少し離れたところに住むことになるんですが、よりよい場所を探して、落ち着いたのは9月です。
そこを、リーダーたちの故郷のボストンという名前にするんです。

森には動物や鳥がいるし、海の魚も取り放題の食べ放題!
ラッキー!と思ってたら、10月になると、鳥も魚も姿を消してしまう。

イギリスから持ってきた食料も底をつき、ばたばたと人が死んでいく。

ルースは、「これは天罰ではないか」と心配する。
「ここは、神様がインディアンたちに与えた土地なのではないか。そこへ入り込んだ私たちに対する罰ではないか」

(この本に、ウイリアム・ロジャースという人が出てきます。この人は、「アメリカ大陸の土地を、イギリス国王がイギリス人に与えることはできない。イギリス人がインディアンから買い取ることもできない」と主張したそうで、イギリス人集団から追放されます)

10月半ばには、イギリスからの船が着くと期待していたのに、その船が到着したのは2月5日だった。

その年はよほどひどい年だったようで、インディアンがルース達の所に食料を求めてやってくる。

『ニューアムステルダムのピーター』とおなじように、おもしろくてためになる本でした。

新大陸アメリカに渡った子供たちの目を通して、入植者たちの日常を描くというのは、いいアイデアだと思います。

いかにも子供らしいと思うのは、いろんなときにいろんな人が長々と説教するたびにルースがうんざりするところです。
なんたって、信仰のためにアメリカに渡った人たちだから、何かにつけて「神を恐れよ!」とか、説教しまくったんでしょうね。

著者ジェイムズ・オーティスの願い通り、このシリーズを通じて、アメリカ建国の歴史に興味を持った少年少女は多いだろうと思いました。

良い仕事です。