「ダンケルク」については、名前だけ知ってました。
第二次大戦で、ドイツ軍に包囲されたイギリス軍が、ダンケルクから決死の脱出!というのが私の知識のすべてでした。
ダンケルクについて調べる気になったのは、『ミニヴァー夫人』という映画を見たからです。
映画の時代設定は、1940年、ダンケルクの年です。
ミニヴァー家は、川沿いの村に住んでて、ミニヴァー氏は魚釣り用という感じのモーターボートを持ってます。
ある夜、村人たちが、「船を持っている者は、船でラムズゲイトに集まれ」という指示が出たというので、わけもわからず、各自小舟に乗って川を下るんです。
ミニヴァー氏も、モーターボートでラムズゲイトを目指す。
船はどんどん増えて、大きな川が小舟で埋め尽くされるほどになる。
ラムズゲイトに着くと軍艦が現れて、小舟の群れに向かって放送する。
「ダンケルクのイギリス軍が危ない。救出に向かってほしい。危険な任務であるから、辞退してもよろしい」
もちろん辞退するものなどなく、ミニヴァー氏もモーターボートでダンケルクに向かう。
ミニヴァー夫人は、5日間も主人が帰らないので心配していたが、無事に帰ってきて、ヨカッタヨカッタ、というエピソードです。
こんな話がほんとにあったのか?
だいたいほんとのようですが、諸説あり。
イギリス海軍省が、BBC放送で小舟を持ってる人に招集をかけた、というのも諸説のひとつですが、船を海軍に提供せよ、自己責任でやるというなら、自分で操縦して行ってもよろしい、ということだったみたいで、集まった800隻ほどのうち、ミニヴァー氏みたいに自分で行った人はごく少数だったようです。
ダンケルクから脱出したのは、イギリス軍フランス軍など三十数万とも五十万とも言われてます。
小舟の役割は、浜辺で軍人を乗せて、大きな船まで運ぶことだった。
もちろん、「奇跡の脱出」といっても、死んだ人はたくさんいるし、イギリス軍とフランス軍の間でいろいろもめたそうです。
ネットで調べてたら、「ダンケルク小舟協会」というのがありました。
1965年、ダンケルク脱出作戦25周年を記念して、作戦に参加した小舟45隻がダンケルクを目指した。
一度きりではもったいないというので、翌年「ダンケルク小舟協会」が結成されて、5年に一度、ダンケルクに行ってるみたいです。
現在、100隻以上が会員登録してる。
世の中には物好きな人もいるもんで、「ダンケルク作戦に参加した小舟」というのが人気らしいです。
世界中に買いたい人がいるんです。
協会のホームページに「売り船」が出てます。
1万ポンドとか2万ポンドとか、けっこうなお値段です。
協会は、取引には責任を持たないので、自分で調べてくださいと書いてます。
あなたも一隻いかがですか。