若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『シャイアン』

テレビで『シャイアン』という映画を見ました。

ぜんぜん知らない映画ですが、タイトルから西部劇だろうと思ってました。映画が始まって、監督がジョン・フォードで、カラーで70ミリ映画なのでびっくりしました。
ジョン・フォード監督は、私にとっては昔々の人なので1960年代に映画を作ってるとは思いませんでした。

監督は、1870年代のアメリカインディアンの悲劇をまともに扱おうとしたようですが、なんでこんな映画ができてしまったのであろうか。
見ていて、ジョン・フォードという人には誠実さとか良心とかがないのかと思いました。
見終わってからウイキペディアとかで調べたら、そんなことはないみたいなので、この時期頭がおかしかったのかもしれない。
ジョン・フォードは、インディアンを悪者にした西部劇を作りまくったので、罪滅ぼしのつもりで史実に基づいた映画を作ろうとしたけど、長年の癖が抜けずお客様サービス的要素を持ち込んでしまったのでしょうか。

シャイアン族は、アメリカ政府によって不毛の土地に押し込められ、約束されていた食料や医薬品の援助も受けられず、これでは生きていけないと故郷に戻るたびに出る。2千キロ以上の道のりを子供や老人も含めて歩いていく。それを「協定違反」ということで騎兵隊が追跡する。

その「自己批判映画」「告発映画」の中に、突如ワイアット・アープが登場して、酒場でバクチをしたりいかがわしい女たちが登場してスカートがめくれて下着が見えて大騒ぎしたり、なにこれ?というシーンが延々と続く。
映画の公開後、映画会社が「この部分は無駄だ」とちょん切ったそうですが、DVDなどではまた復活してしまってるみたいです。

フォード監督は、昔からインディアンの境遇に同情していて、映画にもよく使ったそうです。この映画では、シャイアン族じゃなくてナバホ族の人たちが大勢出てます。珍しく、英語じゃなくてナバホ語をしゃべってます。
映画の中のまじめな場面で、族長が映画に関係ないとても下品なことをしゃべってるそうです。
「白人を馬鹿にした」ということで、この映画はナバホ族の間でとても人気があるそうです。

インディアン迫害の史実を知るということと、名監督でもこんなひどい映画を作るということで、一見の価値ありかな。