久しぶりに「芸術新潮」を買いました。
学生時代はよく読みましたが、以後めったに買いません。
アメリカの画家ベン・シャーンの特集ということで買ったんです。
高校時代、この人の絵を見て、かっこいい!と思いました。
レコードのジャケットなど、いわゆる「商業美術」でも活躍してたし、また「社会派」として、いろんな問題について絵で主張する人でもあった。
絵も印象的だったけど、彼の発言も記憶に残ってます。
当時、ジャクスン・ポロックというアメリカの画家が大人気であった。
それまで、「美術の本場はヨーロッパ」だったけど、このポロックという人が「これからはアメリカでっせ!」という感じで登場したんですね。
今も、彼の作品は何十億だか何百億だか、とんでもない値段がついてるようです。
ポロックの絵は、ペンキを垂らしてあるんです。
いろんなペンキを垂らしまくってある。
美しいと思いました。
いろんな人がほめてるんだし立派な垂れ流しだと思ってた。
それを、ベン・シャーンは、「ポロックの絵には感心しないが、あんなものを芸術だと言い通した厚かましさには感心する」てなことを言ったんです。
高校生だった私は、なるほど!そういわれればそうだなあ、と思いました。
で、「芸術新潮」を買ったんですが、ベン・シャーンより面白い話がのってました。
「芸術新潮特別企画:世界最高の美を護る男たち」
対談なんですが、一人はプラド美術館展示部門長マニュエル・モンテロさん。
タイトルにふさわしい人ですね。
もう一人が、タキヤ株式会社社長中村信男さん。
だれじゃ?
読んでびっくり、油絵などの額をつるす金具のメーカーの社長です。
日本で圧倒的シェアを持つだけでなく、プラド美術館はじめ世界の有名美術館で使われてるそうです。
プラド美術館では、「着衣のマハ」などの名作をタキヤの金具で吊り下げてる。
すばらしい!
うれしいじゃありませんか。
人類の文化遺産を日本の金具が吊り上げてる。
「着衣のマハ」は日本人が吊り下げてると言ってもいい。
それにしても、たかが「金具」と思ってしまいます。
別にどこのでもいいんじゃないか。
釘と針金があれば・・・。
しかし、専門家が「タキヤだ!」というんだから、値打ちがあるんでしょう。
誇りに思います。
首をひねる話もあった。
プラド美術館のモンテロさんのアイデアをいかした新しい吊り金具をタキヤが試作した。
ところが、スペイン経済の悪化により、発注は中止になったというんです。
「吊り金具」とスペイン経済の悪化と関係あるんでしょうか。
スペイン経済が悪化したから美術館の建設を中止するというならわかりますが。
1個10億円くらいする金具なんでしょうか。