亀井金融郵政担当大臣が、「貸し渋り貸しはがし防止法」が必要だと主張してるらしい。
またか。
不思議に思うことの一つが、「貸し渋り貸しはがし」です。
「貸し渋り」とか「貸しはがし」とかいう言葉を知ったのはいつごろだろうか。
たぶん、バブル崩壊期ですね。
「貸し渋り」「貸しはがし」といって騒ぎ出したので、ヘンに思った。
そんなことは常識中の常識だと思っていた。
父は、中小企業の経営者として、何度か倒産を経験している。
落ち着いたのは、私が大学に入ってからだ。
その経験からだと思うが、よく聞かされた。
「銀行は、天気のいい日に傘を借りてくれといって無理やり押し付けて、雨が降り出すと奪い取る」
耳にタコが出来るほど聞かされた。
私も中小企業の世界で長く仕事をして、多くの経営者から同じ事を聞いた。
常識中の常識。
バブルの真っ最中、某銀行の支店長が、土地担保でカネはどんどん貸しますといったとき、私は、「今、天気いいからなあ」と思った。
借りてしまって、大変なめにあった人もいる。
常識の欠如である、と思っていたが、これだけ騒ぐんだから、そうではないのだろうか。
中小企業の世界で長年生きてきたといっても、狭い限られた部分しか知らないから、そこでだけ通用する常識なのかもしれない。
狭い世界での見聞からすると、「中小企業保護」というのもわからない。
保護してあげなければならないような会社を知らない。
ムチャクチャな会社は知ってる。
「保護」より、「取り締まり」の対象になるような会社は知ってる。
倒産企業も見てきましたが、泣いて同情したくなるような例はなかったです。
会社の倒産は悲劇ですが、同業者にとってはラッキーです。
ウチの隣の鍍金会社は、堅実経営で社長も立派な人だったが、バブル崩壊後仕事が激減して青息吐息だった。
この十年ほど、仕事量が急速に回復してましたが、原因は、同業者の倒産が相次いだからだそうです。
景気がいいと、社長夫婦がそれぞれベンツに乗って、平日ゴルフに行きまくってるような会社も生きていける。
景気が悪いと、まじめな会社も倒産する。
難しいもんですが、「貸し渋り貸しはがし」は常識だと思ってたほうがいいと思います。