キンドル無料本シリーズに英語版もあるので読んでみました。
知らない作家のを読もうと思ってこれを選びました。
夜明け前の薄暗がりの中、駅員が寝ぼけ眼で宿舎から駅にやってくる。
引き込み線に寝台車と貨物車がとまっているのを目にする。
この二両はニューヨークの億万長者の専用車両なんです。
億万長者は気まぐれにこの何もない田舎の農場を買って夏を過ごすんです。
夜中の3時に到着するという連絡があったので駅員が見に来たというわけです。
切り離して置いていかれた寝台車と貨物車を見て、駅員は「億万長者様のご到着か」と声を上げます。
すると後ろから「億万長者さまって誰のこと?」という声が聞こえた。
驚いて振り向くと、穴だらけの帽子、よれよれの服、擦り切れた靴の放浪者風の男がいた。
「あんたは誰だ?」
「オレの質問に答えるのが先だろ。億万長者様って誰かって聞いたんだぜ」
この放浪者は億万長者の寝台車のデッキに飛び乗って寝てたんですが、ここで切り離されて置いて行かれたというんです。
なかなかいい感じの始まりです。
で、億万長者と3人の姪と姪の婚約者の一人の青年が寝台車から降りて、迎えに来た馬車に乗って農場に行きます。
億万長者は、ここでしばらくのんびりできると喜ぶんですが、「これで新聞があったら言うことないんだがなあ」と言うんです。
それを聞いた姪の一人が、「私たちが新聞を作る!」と宣言します。
億万長者は、「いいねえ!」と大はしゃぎです。
「さて、新聞を作るには何がいる?輪転機か?ニューヨークに注文しよう。輪転機を動かすのは電気だな。じゃあ、近くの発電所から電気を引こう。電線と電柱はニューヨークに注文して、建設労働者もよびよせるよ。それから、この付近のニュースは君たちが書くとしても世界のニュースも欲しいな。よし、それはニューヨークの通信社から配信させよう。イラストも欲しいな。画家を雇おう。どうせなら新聞社の社屋も建てたいし、それから・・・」
聞いていた婚約者の青年が顔色を変えて、「お、おじさん、その新聞とやらに一体いくらカネをかけるつもりなんですか」
「いくらでも構わんよ。こないだ銀行から財務報告を受けたんだがね、私の財産は毎日のように増え続けてると言うんだよ。使わないと大変なことになるんだ」
まあ、楽しそうな話です。
で、作者がどんな人か調べました。
ライマン・フランク・ボームは『オズの魔法使い』の作者でした。
「オズシリーズ」のほかにもたくさんの少年少女向け小説を書いてるようです。
「ジェイおばさんの姪たちシリーズ」もたくさん書いてます。
この作品は1912年作でシリーズの何作目かです。
読みやすいと思ったら少年少女向けの小説なんですね。
アメリカの評に「10歳前後向け」と書いてありましたが、「10歳前後」と言うことはないと思います。
「15歳前後」じゃないでしょうか。
私にぴったりです。
中西部訛りを表すためと思いますが、辞書に出てこないヘンなつづりがたくさん出てきます。
アメリカ人にはわかるんでしょうね。