若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ルイジーン・ハブマイヤー

ルイジーン・ハブマイヤー(1855〜1929)『あるコレクターの回想』を読み始めました。

印象派の絵のファンにはおなじみのコレクターだと思います。
アメリカ人として初めて印象派の絵を買った人ということです。

億万長者の奥さんです。

この人の家には音楽室や図書室やギャラリーがある。

音楽室といってもグランドピアノが1台あって防音になっててというようなのじゃないですよ。
防音なんかしてませんよ。
たぶん。

夫のハブマイヤーさんはバイオリンが趣味だった。
いろんなバイオリンを持ってます。
たとえば、ストラディなんとかとか、ガルネリなんとかとか。
ほかにもチェロの名器とかが転がってる。
いや、転がってないかもしれんけど、まあそういう世界の名器を集めてた。

音楽室の内装はティファニーにまかせてたようです。

夫人は内装にうるさいです。
友達の億万長者の家はどこも同じでおもしろくないと言ってます。

「ちょっと趣向を変えて、たとえばオリエンタルな雰囲気で、日本なら琳派本阿弥光悦なんかでアクセントをつけるのもいいんじゃないかしら」てな感じです。

日曜には音楽室に友人たちを招いてコンサートを開く。
友人たちにはまず椅子を選んでもらう。
ニトリとかイケアとか大塚家具の椅子じゃないですよ。
ルイ14世風とか、いや、ルイ14世風じゃなくて、ルイ14世時代の椅子ですね、まあなんか知らんけど、そんな椅子だと思います。

音楽会が終わると、絵が好きな人は図書室で絵を見る。
図書室は高名な建築家が二年かけて完成したものです。

レンブラントの絵がかかってる。
夫人のお友だちが言ったそうです。

「ここみたいに、一部屋に8枚レンブラントがかかってるのも珍しいんじゃないの」

知らんがな。

この音楽会に、日露戦争講和条約締結のため滞米中の特命全権大使小村寿太郎が招かれてます。
夫人は、「KAMURA」と書いてますが。
実に立派な紳士であったとほめてます。

コレクターの本を読んでて楽しいのはニセモノをつかまされた話ですが、どうもそういう話にはなりそうもないです。

印象派の絵を大量に買って、レンブラントや、グレコ、ベラスケスなどの巨匠の絵も買って、メトロポリタン美術館にど〜んと気前よく寄贈して、めでたしめでたしの自慢話で終わるのであろうか。

夫人は、美術品コレクターとして有名なだけではなく、女権拡張論者や慈善家としても有名だったということなので、自慢してるつもりじゃなくても自慢に思えてしまうかもしれない。

気の毒である。