若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

仏画

二人展の会場「アートサロン空」は、学園前駅から徒歩二分、閑静な住宅地の一角にある。
小さな庭に面した喫茶室もあって、なかなか素敵なサロンです。

グランドピアノも置いてあって、音楽会にも利用されています。
お茶を飲むために訪れるお客さんにも見ていただけて、楽しかったです。

きのう、最後のお客さんも帰られてから、70代と思えるおしゃれな紳士が、お茶を飲みに入ってきました。
私と、画廊の女性だけがいたのですが、その男性は、コーヒーを飲みながら色々話す。

奥さんのお母さんが、日本画を描いておられたそうで、しばらく、その話をした後、私に向かって、「仏像は、描かれますか?」

「いや、描きません」
「人物だけですか。まあ、仏画は、難しいですからね」

そして、言おうかどうしようか迷う感じで、「おやじも、絵を描いてたんですよ」と切り出した。

仏画ですか」
「いや・・・春画です」
「?!?!春画?!?!仕事ですか」
「仕事は、仏壇を作ってたんです」
「・・・仏壇を作るかたわら、春画を?」
「何ページか綴じましてね。一ページ目には必ず、仏教的な戒めを書いてました」
春画に、仏教的戒めですか」
「はい。これを、みだらな心で見てはならん、というようなことを書いてました」
春画を、みだらな心で見てはならんと・・・?」
「はい。私が、現役時代、酒の席におやじが描いた春画を持っていくと、大変な人気でしてね。大金を出して、譲ってくれなんて人もいました。おやじが死んだ時、かなりの作品が残ってたんですが、姉達が、引き裂いて焼いてしまう勢いで、これは、おやじの形見だからと、説得するのに苦労しました」

面白そうな話だけど、画廊のスタッフの女性のいる前では、いくら好奇心の強い私でも、あれこれ聞く気はしない。

不適切な話題として、さらりと聞き流さざるを得なかったのは残念であった。