若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

聖母マリアを描く

レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」の聖母マリアの模写に取り掛かった。

今年から人物画を描きはじめて、家内や娘たち、家内の知り合いをモデルに、女性像は何枚か描いている。
ところが、今回、なんかちがう。

聖母マリアの顔が、ウチの奥さんや娘とはちがうような気がする。
聖母マリアが外国人だからか。
そうではなさそうだ。
マネの「ベルト・モリゾ」や、ドガの「若い女性の肖像」を描いた時は、違和感はなかった。

どこがちがうのだろうかと、マリア様をじっと見ていたら、仏像に似ている。
これは、ダ・ヴィンチの「仏画」なのだ。
いや、ダ・ヴィンチなら「仏画」ではなくて「伊画」だというような人は相手にしない。

「仏像画」だというのは納得できる。
ダ・ヴィンチは、シルクロードを通じてもたらされた「仏画」の影響を受けていたのではなかろうか。

「受胎告知」の製作は、どのようになされたのであろうか。

製作にあたり、ダ・ヴィンチは成功祈願のため、サン・ピエトロ寺院本堂に、三七二十一日の間おこもり、本堂には、中央のマリア像を取り囲むように、多聞天広目天持国天増長天、「受胎告知」製作に何とぞマリア様のお力をお貸し下さい、もしも大慈悲心あらば、たとえ夢になりともお姿をと祈り続けた甲斐もなく、いよいよ満願の二十一日目、草木も眠る丑三つ時、サン・ピエトロ寺院の鐘の音が陰にこもってものすごく寂滅為楽と響くのにも気づかず、これまでの疲れか不覚にもうとうとしかかったその瞬間、本堂は金色の光に満ち、頭上高く聖母マリアのお姿、「レオナルドよ、その方の殊勝な心がけに免じ、力を貸すであろう」とのお言葉、やれうれしやと画室に戻って絵筆を取れば、天使を連れたマリア様が現れて、ポーズをとってくれた、というようなことはないと思う。

街で評判の、マリア様に似た女性をモデルの頼んだのか。
マリア様に似てると評判の女性なんか居るかな。

製作工程についてはよくわからない。
いずれにせよ、私が違和感を持ったということは、このマリア像の聖性、あるいはダ・ヴィンチの天才を、私が感じ取ったということになって、いいんじゃないでしょうか。
仕上がりが楽しみである。