ディアドラ・マスクさんの『住所録』を読んでるとこですが、「住所」だけでよくこれだけ書けるもんだと感心します。
地名変更というのは日本でも問題になりますね。
古くからの地名を、簡単で便利でわかりやすいのに変える。
「由緒ある地名を守れ!」という運動がおこる。
イギリスにはとんでもなくお下品な地名があるようです。
ちょっと書けないような地名。
外国人にはなんで下品かわからないようなのもある。
「BELL END」という地名がある。
著者のディアドラ・マスクさんはアメリカ人なので「BELL END」の何がいけないのかわからない。
エレガントな響きでいいじゃないの、と思ってた。
ところが、「BELL END」は「おちんちんのさきっちょ」という意味で使われてるんだそうです。
で、「BELL END」の住民が地名変更の請願を起こした。
この地名のせいで子供たちが学校でいじめられると言うんです。
これに対して猛烈な反対運動がおこった。
「地名に罪はない、悪いのはいじめる方だ」
なるほどね。
アメリカの通りには名前がついてる。
人の名前とか木や花の名前も多いけど一番多いのは番号。
「フィフスアベニュー」とかいうやつです。
さて、番号の付いた「ストリート」で一番多い番号はなんでしょう?
「セカンドストリート」だそうです。
「セカンドストリート」の前に「ファーストストリート」があるじゃないかと思うのは素人の浅はかさです。
「ファーストストリート」には強力なライバルがあるんです。
「メインストリート」
なるほどね。
番号もただつければいいというもんじゃない。
初めは順序正しくつけていく。
何年もたつとくずれてくる。
「1番地」と「2番地」の間の空き地に家が建って「1954番地」というような困ったことになることがある。
イギリスの郵便制度を確立したローランド・ヒルが、ロンドンの町に自分がつけた番地を確認しながら歩いてた。
家々の入り口に打ち付けられた銅板の番号を見ながら満足げに歩いてたローランド・ヒルがある家の前であっと叫んだ。
「14番地」と「16番地」の間のその家に、なんと「95番地」の銅板が!
これは一体どういうことかとその家のドアをたたくと奥さんが出てきた。
「奥さん、ここは15番地のはずですが」
「いえ、ウチは95番地です」
「いや、奥さん、ここは15番地なんですよ」
「ここはどうか知りませんが、ウチは95番地に間違いありません。ウチは先月引っ越してきたんですが、ちゃんと住所の銅板を持ってきたんですから」
「い、いや、奥さん、そういうことじゃなくて・・・」
イギリス郵便制度の父ローランド・ヒルも大変困ったそうです。