若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

我が家のアイドル

自分の子供ができるまでは、子供のことを「我が家のアイドル」という人をばっかじゃなかろうかと思ってました。

長女が生まれた瞬間「我が家のアイドル」になったので、それまでばっかじゃなかろうかと思った人に対して申し訳ないことをしたと思いました。

 

長女、次女のあとに息子が生まれて、長女も次女も弟をかわいがったので息子は長らく我が家のアイドルであった。

 

初孫のはなちゃんが生まれてやっとアイドルの座を譲った。

はなちゃんのパパの方のおじいちゃんとおばあちゃんが我が家に来られた時、「これまで我が家のアイドルだったんですが今回はなちゃんと交代しました」と紹介した。

息子はえへへと照れてました。

 

その息子がきのう来たんですが、表情におじさんの気配がちらっと見えたのでしみじみしました。

こないだまで「青年!」という感じだったのに。

トシを聞いたら36歳だそうです。

おじさんの気配がちらっと見えるのはしかたないか。

私なんか後期高齢者の気配まったくなし。

と思うんですが。

 

おいしーおいしーおいしー

テレビをつけるとどのチャンネルでも「おいしーおいしーおいしー」と言ってるような気がします。

高級レストランや老舗料亭でかしこまってありがたそうに「おいしーおいしー」。

居酒屋やラーメン屋でぶは~っとおぎょうぎわるく「おいしーおいしー」。

北海道でおいしー九州でおいしー。

農村でおいしー漁村でおいしー山村でおいしー。

社員食堂おいしー弁当おいしー。

全国的にまんべんなくかげひなたなくえこひいきなくウシもブタもトリもなどと細かいこと言わず哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類、裸子植物被子植物ぜ~んぶおいしー。

 

どのチャンネルもいっしょ。

よそと同じことしてたらダメと言うけど。

オリジナリティとか個性とかオンリーワンとか言うけど。

 

「函館まずいもの大会」というような番組があってもいいのでは。

「大阪にもまずいもんがおますねん」でもいい。

「博多のまずかもん集合!」でもいい。

 「舞妓さんおすすめ。これが京都のまずいもんどす」でもいい。

 

探せばあると思うんです。

私はひとつ知ってるんですが、ちょっと古い。

学生時代の下宿の近くの中華料理屋。

おばさんが一人でやってる小さな店で毎晩のように通いました。

「学生さん、中華ばっかりじゃあきるでしょ」と言ってわざわざ魚を焼いてくれて食べたくもない焼き魚を食べさせられたこともある。

やさしいおばさんであった。

 

初めて焼きそばを食べた時驚いた。

まずい!

焼きそばですよ。

まずい焼きそばなんかあるのか。

あるんですな。

不思議であった。

 

高校美術部の後輩T君が遊びに来たことがある。

その店に入って私はチャーハンを注文して、T君が「なににしようかな」と言うので私は迷うこともためらうこともなく即座に「焼きそば!」と言いました。

先輩おすすめの焼きそばをT君は黙って食べた。

 

店を出るとすぐにT君が「まずい焼きそばやなあ!」と言ったので我が意を得たりという思いであった。

 

そういうのを探してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

「雪に踊る男たち」

NHKテレビのドキュメンタリー番組です。

タイトルがおかしい。

雪が降って喜んで踊ってる男たちの話じゃない。

誰も踊りません。

 

特別豪雪地帯新潟十日町の話です。

ウチの息子のお嫁さんが十日町出身で、「見てください」と電話があったので見たんです。

息子の結婚以来豪雪が身近になったんですが、どうもピンと来ない。

冬の間は1階の窓は雪でうもれてますと言われてもピンとこない。

うもれてる写真を見せられてもピンとこない。

十日町のお父さんが家の横に雪で高さ2メートルほどのすべり台を作って孫たちが喜んで滑ってる動画を見てもピンとこない。

 

どういうことかなあと思う。

奈良に雪が3メートル積もったからと言って私が孫を喜ばせるために庭に高さ2メートルの雪のすべり台を作ったりするであろうか。

そんなことしてられますかいな。

たぶん自治会のパトロールはお休みだと思います。

 

息子のお嫁さんが、吹雪の夜は運転してても前はまったく見えないという。

危ないねと言ったら、道沿いの家の庭に突っ込んだことがあるという。

たいへんやねと言ったら、まあお互い様ですからという。

そ、そうなんですか。

吹雪の夜は庭に突っ込んだり突っ込まれたり、とんとんとんからりと隣組

 

で、見たんですが、すごいわ。

お嫁さんの実家より山手の方なんで堂々たる豪雪です。

すべり台どころじゃない。

十日町市の除雪費用が20億だったかすごいこと言ってました。

市の職員さんは、春になったら自然に消えるものにこれだけ金をかけるのはちょっと・・・と言ってましたが、たしかに。

 

除雪作業は地元の建設業者の貴重な収入源だそうです。

業者さんが、「空から金が降ってくるみたいなもんです」というのを聞くとなんとなく心があたたかくなる。

「そう言っていただければ」という感じで雪も遠慮なく降れますよ。

 

地元の皆様方、静かな諦念というかヤケクソというか、やっぱりぴんと来ないのであった。

 

 

 

聖火リレー

オリンピックの聖火リレーがコロナのおかげでややこしい。

コロナのおかげでややこしくなったのを機会に一度考え直した方がいいことはたくさんあると思います。

 

聖火リレーって何ですか。

というか、聖火とは何か。

ウイキペディアで調べました。

 

聖火は古代オリンピックに期間中、会場にともされていた。

この火は、ギリシア神話でプロメテウスがゼウスから火を盗んで人類に伝えたのを記念してともされたものである。

 

ええ~~!

盗んだ火なんですか。

盗んだ火を聖火とは?

けがらわしい火じゃないですか。

そのけがらわしい火を持って日本国中くまなく走りまわる。

 

けがらわしい火を持ってくまなく走りまわるのもどうかと思うけど、大阪では万博公園の中をぐるぐる走り回った。

わけわからん。

 

聖火リレーのために百何十億円の税金が使われてるそうですが走る人に負担してもらえばいいのでは。

出すでしょ。

 

採火式というのをテレビで見ました。

ヘラ神殿というところでやるんですね。

パルテノン神殿かと思ってました。

というかパルテノン神殿しか知らない。

あと知ってるのは鴻池新田くらいです。

パルテノン神殿と鴻池新田は似てるようだけど何の関係もありません。

なんの話か。

聖火リレーを考え直したらどうかという話でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジム・フィスク殺人事件』

ジム・フィスク(1835~1872)という悪名高い男が射殺された事件をアメリカの歴史学者が書いた本です。

 

ジム・フィスクは南北戦争が終わった後の「金メッキ時代」に暴れまわった「強盗男爵」の一人で当時の超有名人だった。

貧しい家の出身で、行商人から身を起こし、南北戦争のどさくさに綿花の違法取引でぼろもうけして、その後は買収、脅迫その他なんでもありで金に金を産ませてあっという間に億万長者に成り上がった。

「このような生き方があることはアメリカの自慢にならない」と言われた。

良識ある市民の間では「あんな人になってはいけないよ」という感じの有名人だったが大衆の間では大人気だった。

トランプさんみたいな感じですかね。

 

ジム・フィスクの情婦だったジョシー・マンスフィールドというろくでもない女が、ネッド・ストークスというろくでもない若い男とくっついて、二人でジム・フィスクから手切れ金を脅し取ろうとしたことから裁判沙汰になった。

カネと女がからむ超有名人のスキャンダルにマスコミが殺到、裁判の模様が連日報道される中、ネッド・ストークスがジム・フィスクを射殺した。

 

当時の新聞にこう書かれた。

ニューヨーク市の名を汚す事件は数々あったがこれほど世間を騒がせた事件はない」

 

歴史家が取り上げるような話じゃないと思うけど、まあ時代の空気をよく表してると思ったんでしょう。

 

『ジム・フィスク殺人事件』は非常に文学的に始まる。

 

晩秋のパリ、冷たい雨のふりしきる中モンパルナスの墓地に向かう霊柩車があった。

霊柩車の後に従うのは貧しい身なりの女二人とアメリカ人と思える紳士が一人。

影絵のように現れた墓堀人夫が棺を穴におろし、土をかけ終えるとすぐに女たちは立ち去り、しばしたたずんでいた男も深い霧の中に消えて行った。

 

誰が死んだんや!と言いたくなる。

もったいつけるな!と言いたくなる。

 

本の終わりになってやっとわかります。

死んだのはジム・フィスクの情婦ジョシー・マンスフィールドなんです。

事件の後姿をくらましてアメリカとヨーロッパを転々としていたみたいです。

霊柩車に付き添っていたのは女中と、ジョシーと縁のあった男性みたいです。

 

射殺したネッド・ストークスは数年後獄中で死亡。

ジョシーは事件後60年ほど生きた。

 

射殺事件は白昼衆人環視の中ニューヨークのグランドセントラルホテルで起こったので詳細な記録が残ってます。

 

ジム・フィスクは二発の銃弾を受けて血まみれになって倒れていた。

知らせを受けて駆け付けた検視官は虫の息のジムを見て「ラッキー!」と思った。

なぜか。

死を覚悟した人の証言は裁判でネウチがあるんです。

 

瀕死のジム・フィスクに向かって「あなたの住所、氏名、年齢をお願いします」と冷静に質問。

「さて、あなたを撃った男についてお聞きしたいんですが、その前に、あなたは自分が死にかかってるとわかってますね」

「・・・まあ、ちょっとやばいかなとは思いますが」

「え?・・・それではちょっと・・・あなたは回復の見込みがあると思ってるんですか」

「できれば・・・」

「だめだこりゃ」

というようなやり取りがあったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

語彙

「語彙」というのはよく見るしたまには使う言葉です。

今ふと思ったんですが、「語彙」の「彙」についてはまったく考えたことも気にしたこともない。

「彙」という字を書ける人はいるのであろうか。

私は書けません。

「彙」という文字を単独で見るのはこれが初めてです。

あらためて見るとヘンな字である。

というか、これ、字か?

甲骨文字の成れの果てという感じです。

亀の甲羅に彫ってあるのが似合う字である。

 

ややこしいことはおいといて「語彙」です。

 

小5ゆうちゃんと小2あきらくんがおしゃべり。

ゆうちゃんの友達が女の子に振られた。

その話をしてたらあきらくんが「振られるってどういうこと?」と聞いたそうです。

 

あきらくんはいろんな言葉を知ってると感心してたので意外でした。

新鮮な意外であった。

 

で、「語彙」に戻って、「ことばかず」でいいんじゃないですか。

「彙」には引退してもらいましょう。

何千年か知らんけどご苦労様でした。

 

 

 

 

愛宕神社

朝テレビをつけたら「旅番組」をやってました。

旅の男性が、「東京の愛宕神社です」と言うので、ふ~ん、と思って見てました。

石段が映って男性が「すごい石段ですねえ!急ですねえ!」と言うので、ふ~ん、と思って見てました。

 

次の瞬間、「おお!曲垣平九郎!」と思った。

江戸時代の馬術で有名な人です。

時の将軍家光が愛宕神社の下を通りかかったとき、石段の上の梅の花を見たのだったか香りをかいだのだったか、枝を取ってこいと命じた。

で、家来が石段をよいしょよいしょと登って取りに行ったのでは講談にならない。

どういうわけか神社の急な石段を馬に乗って取りに行けと命じて、曲垣平九郎が馬に乗って取りに行って梅の枝をエリに刺して悠然と降りてきたので家光があっぱれあっぱれ武士の鑑じゃとほめたたえたのでご存知寛永馬術の一つ曲垣平九郎出世の石段という講談になった。

 

なんでこんなことを知ってるかというと、私が小学3年生の時講談社版少年講談全集の「曲垣平九郎」を読んだからです。

この本は私が初めて自分で買った本として長く記憶に残ってたけど最近忘れてたのをテレビのおかげで思い出した。

近鉄小坂駅前の「ヒバリヤ書店」で買ったんです。

なぜ買ったのかおぼえてません。

この本の読書感想文を書いて、担任の志水先生が教室で読み上げてくれたのも記憶に残ってます。

 

私の脳が長く記憶に留めておきたがってるのは「寛永馬術の一つ曲垣平九郎出世の石段」なのかその感想文を志水先生が教室で読み上げてくれたことなのか、ちょっと考えさせてください。

 

今の時代、曲垣平九郎でもあるまいと思って調べたら講談社から絵本が出てました。

ウチの孫たちが読むとも思えませんが。

私が読んだのはこれだと思うんですが、この絵はおぼえてません。

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