新聞の書評欄で、亀和田武という人が、ビートルズ関係の本を取り上げていた。
書き出しが、「私はビートルズが嫌いだ」
気に入った。
私はビートルズが好きなのだが、ビートルズが嫌いだと言う人も好きだ。
亀和田さんは、皆ビートルズをほめすぎだ、と言いたいらしい。
取り上げていた本は、「ビートルズを神格化してはいけない」という趣旨の本らしいが、亀和田さんは、「こういう本が出ると、ビートルズの神格化が一層進むのではないか」と心配している。
私が高校のころ、リンゴ・スターが、ウエスタンの名曲「アクト・ナチュラリー」を歌った。
よせばいいのに、と思った。
当時、ウエスタン好きのアナウンサーが、リクエストに応えて、ウエスタンばかりかけるラジオ番組があった。
リンゴ・スターの「アクト・ナチュラリー」をかけてから、そのアナウンサーは感心したように言った。
「いやー!リンゴというのは歌が下手ですねー」
次の週、彼は番組冒頭で謝罪した。
「先週、リンゴ・スターの歌が下手だと言ったことに対してたくさん抗議の手紙をいただきました。中には、殺すぞというお便りもあり・・」
NHKでも、ビートルズを取り上げる番組を放送した。
当時、雑誌「ミュージックライフ」の編集長だった、星加ルミ子さんを、三人のジャズ評論家のおじさんがいじめる番組であった。
おじさんその一が言った。
「星加さん、ああたの雑誌、『ビートルズライフ』って名前に変えたらどうです」
音楽性がどうのこうのといじめ抜かれた星加さんがたまりかねて言った。
「でも、彼らの人気を見れば・・」
おじさんその二が言った。
「ああた、人気ってね、フランク・シナトラが出てきた時は、こーんなもんじゃなかったですよ」
今考えても大人気ないおじさんたちである。
大学の時、本屋で、「くたばれビートルズ」という本を見つけた。
彼らの学校での成績表が出ていた。
奥さん達の写真もあって、その説明が
「このいかれたカアチャンたちを見よ!」
私がビートルズを好きになった頃、都はるみがデビューした。
私と同じ年だった。
片やしがない受験生、片やさっそうとデビューした新人歌手。
大変な違いだと思った。
以来、ずっと彼女を意識してきた。
彼女の曲で一番好きなのが、「ばかっちょ出船」
このタイトルは本当に素晴らしいと思う。