いつもどうでもいいようなことを書いているのに、なぜ改まってこういうタイトルをつけるのか。
特に意味は無いので、期待しないで読んでください。
朝の電車。
いつものドアのところで本を読んでいた。
駅に着く少し前に、私に背を向けてつり革をつかんで新聞を読んでいた中年男性が、網棚に手を伸ばした。
傘とかばんをつかんだので、この駅で降りるのだなと思った。
この人は、ドアの近くにいたのだが、そのドアの方に向かわず、人をかき分けて向こうへ行った。
向こうのドアから降りるのか、と思ったら、向こうのドアも通り越した。
車内はまだ空いているので、あまり人がいないところにいくのだろうと思って見ていたら、よりによって一番人が多いところに行って、一つだけあいていたつり革をつかんだ。
本当にどうでもいいことではあるが、なぜそういう人を戸惑わせるようなことをするのだ。
常に理詰めで物を考える私を混乱させるためにしているとしか思えない。
今日も雨だ。
二十年ほど前の今頃の季節の、得意先でのことを思い出した。
その日も雨が降っていた。
社長の奥さんが、「よく降りますねー」と言った。
私も、「ほんとによく降りますねー」と答えた。
奥さんは、私をじっと見て、「こんな雨、なんて言うか知ってます?」と聞いた。
試すような目つきであった。
私はとっさに身構えた。
この奥さんは普段冗談や洒落を言う人ではない。
しかし、なんと言っても大阪で生まれた女やさかい要注意だ。
私は、奥さんに一本取られてたまるかと、必死に考えたが、「こんな雨」に関する洒落を思いつけなかった。
悔しいが仕方がない。
「いや、知りません」
奥さんはうっとうしい天気を吹き飛ばすように晴れ晴れと笑った。
「五月雨って言うんですって」