今日は、朝から整骨院と散髪。
8時過ぎの電車に乗る。
若い人が多かった。
会社勤めや大学生と思える男女が、それぞれ熱心に、なにか勉強している。
スポーツ新聞を読みふけるおじさんの姿がない。
この時間は、勉強熱心な若者が多いのだろうか。
私が通っている整骨院は、大阪でも大手の「チェーン店」ならぬ「チェーン院」だ。
前の院長が、十何軒目だったかの新店舗じゃなかった新診療所の院長として移動したので、副院長格の人が昇格して院長になった。
創業者は、銀行員から「整骨業界」に転進した人で、今や、クルーザーを持ち、ポルシェを乗り回す、人もうらやむリッチマンである。
今のところ、それが従業員の励みになっているようなので、まあ結構である。
従業員教育は行き届いていて、客というか患者も多い。
高齢者時代に向けて、まだまだ拡大しそうである。
一方、散髪屋の方は、自宅で営業していたのが、三十年ほど前、自宅の店は職人に任せ、駅前にも店舗を作った。
職人が何人もいて、店の一角に喫茶コーナーなどを設けたり、主人はやる気満々だった。
まだ店を増やすのではないかと思っていたら、十年ほど前、なぜか駅前の店を閉め、自宅で奥さんと二人だけの形に戻ってしまった。
主人は、手を広げると色々大変だといっていた。
自宅で、なじみの客だけ相手にしてるのが気楽でいい。
なるほど、通い出して三十数年の私をはじめ、なじみの客ばかりだ。
若い人は、この、神社の前の小さな理髪店に来ないから、客は年々減っている感じがする。
今朝も、私一人。
途中で、主人のつり仲間が来た。
この人とは時々いっしょになる。
ドアを開けて入って来たこの人の顔を見て、主人が言った。
「なんや?」
「・・・なんやて・・・散髪しに来たんやがな」
「ああ、そうか」
気楽でよろしい。
二人でつり談義に花が咲く。
鮎がどうした、イサギがどうした。
奥さんは私のひげをそりながら、妹の話をする。
妹の主人は、三十何歳で死んだ。
幼い男の子を二人残して、がんで死んだ。
「妹がかわいそうでかわいそうで・・・妹といっしょに何べん泣いたかわからんよ。けど・・・今は、うらやましいわ。二、三年でええから、あんな身分になってみたいわ」
主人は、なじみの客と楽しく釣り談義である。