若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

本番パート2

ギターケースをさげて去って行くYさんの後姿を、絵になるなーと思いながら見送った。
他人のことは余裕を持って見ていられるもんだ。

Yさんにとって、「悲しき街角」に続いて、ギターのSさんとの「ラブミーテンダー」でもこけたのが打撃だったようだ。
歌詞を忘れてしまったのだ。
練習のときも何度も歌えなくなっていたので、私はたぶんこうなるであろうと楽しみにしていたのじゃなかった心配していたのだ。

今回のSさんのギターはマーチンだ。
Sさんは、180万円のギブソンのほかに、この同じ位するのではないかと思えるマーチンを持っている。
ぜいたくな!と思う人もいるだろうが、私は思わない。
私は心が広いので、Sさんの下手さに免じて許す。

今回のステージでもSさんは自慢の名器マーチンを思い切り弾きそこなっていた。

しかし、これがアマチュア音楽の醍醐味だ。

60を過ぎ、無事第一線を退き、いまや悠々自適のはずのお二人が、何の因果かステージで我が身をさらし、公衆の面前でライトを浴び、顔をこわばらせ指を引きつらせ、歌いそこない弾きそこない、脂汗にまみれ、苦悶の表情を浮かべてのたうつありさまは、これぞまさしく衆生済度の菩薩行と、自然と頭が下がってくるのであった。

残念ながら、12年目にして私は「菩薩」の位から「俗人」へと堕落したのではないか。
「ホテルカリフォルニア」が、なんとなく弾けてしまったのだ。

所々音が途切れて、ついたり消えたりの「ホタルカリフォルニア」的部分もあったが、これまでのように演奏中に「あっちゃー!」とか「とほほ」と思うことはなかった。

とはいえ、「弾いた!」という実感もない。
なんとなく終わってしまった、という感じだ。
175R」のときは、「この爆音はオレがまきちらしている!」という手ごたえがあったが、そういう充実感を感じることなく、もーろーと終わった。

すっきりしない。
修行不足だ、と思っていたら、尊師から新たなる挑戦状が届けられた。
ヤマハナンバセンターが誇る地獄の狂獣、恐怖の絶叫マシン、ボーカルのK君が9月に歌うエアロスミスの「アメイシング」のギターに私を指名してきたのだ。

光栄である。受けて立とうではないか。