若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ギターを弾くのは苦しい

合宿の発表会のビデオを見る。

発表会のビデオを見るのはいやなものだ。
弾いている時は、ヘンな音を出しても、ドラムの音や歌声にまぎれて気づかれないのではないかと思うが、ビデオでは、ヘンな音に限って「はっきりくっきり」記録されているからだ。

それと、何よりも自分のこわばった顔を見るのが情けない。

まず、Y森さんの、「悲しき街角」
三度目の正直で、過去二回とは比べ物にならない出来であった。
Y森さん自慢のギター、寺内タケシ愛用のブルージーンモデルもかっこよく決まっていた。
それでも、Y森さんの顔はこわばっている。
他人のこわばった顔を見るのは楽しい。
見飽きない。

非常に苦しそうな表情で歌っている。
「悲しき街角」と言うより「苦しき街角」だ。
恋人の姿を求めて街をさまようというより、急な腹痛でトイレを探して街を走り回ってる感じだ。

Y森さんの苦しげな表情を十分見届けて心の準備ができたところで、私の「ホテルカリフォルニア」だ。

7月に奈良の発表会でやって、今回はそれを上回るできにしようと思っていたのに、一ヶ月以上弾かなかったためほとんど忘れてしまっていたと言う、予想外の展開になってしまった曲だ。

奈良の時もベースを弾いたK君が、ちょっと着替えます、と言った時、どんな格好をするんだろう、と楽しみであった。
役者志望のK君は、ウエスタンブーツが好きで、この日も派手なウエスタンブーツで、西部劇俳優と言う感じだった。

もっと派手な衣装でやるのだろうか、と思っていた私は、K君が着物で現れたのにはあきれてしまった。

「役者の仕事着です」

そうかもしれんが、「ホテルカリフォルニア」をやろうと言うのに「和服でベース」はないでしょう。
これでは「ホテルカリフォルニア」ではなくて、「熱海温泉国際観光旅館カリフォルニア別館大宴会場孔雀の間」だ。

弾きはじめから私は難しい顔をしている。
ソロに入ると、表情はますます険しくなり、歯を食いしばっているのがわかる。
全身が硬直し、指は引きつっている。
ギターを弾く手ではない。
おにぎり位なら作れそうな手の動きだ。

私の横でセンベー君がゆったりとギターを弾いている。
それを見て、いつも家内が言うのだ。

「センベー君みたいに楽しそうに弾けないの?」

弾けません。

私が、楽しそうにギターを弾ける日は来るのであろうか。