去年亡くなったY森さんを偲んで、ヤマハの発表会のビデオを見ました。
Y森さんは、私より何年か遅れでヤマハに入った人である。
Y森さんのボーカルと私のギターで、ヤマハの暗黒時代を築き上げた。
ヤマハ最凶のコンビと言われたり、最悪のコンビ、最低のコンビ、色々言われました。
この二人にやはり同じような年齢のドラムのIさんを加えて、三羽烏といわれたこともある。
この三人に、ウクレレのKさんを加えて四天王と恐れられたこともある。
色々言われましたが、なんと言われてもしかたないのでなんと言われても平気なのであった。
ビデオでは、まずデル・シャノンのヒット曲、「悲しき街角」がでてきた。
はて、このときはどんなこけ方だったかな?と考えた。
同じ曲を何度か演奏する機会があるんですが、その都度こける。
こけ方がその都度違う。
「悲しき街角」は、Y森さんの歌い出しが早すぎたこともあったし、遅すぎたこともあった。
これはどのバージョンかなと思ってたら、歌い出しは正確だった。
タイミングは正確だったが、1オクターブ低く歌いだした。
ああ、こういうこともあったなと懐かしく思い出しました。
高音が出るのが自慢のY森さんが、どういうわけか1オクターブ低く歌いだしてしまったのだ。
不思議である。
リズムやテンポは極めて不安定だけど、音程だけは確かなのだ。
低すぎてほとんど聞こえない。
すぐ修正するかと思ったら、なかなか修正しない。
地を這うような低音で、「悲しき街角」をうなってる。
私は、横でニコリともせずギターを弾いてる。
Y森さんの低音に意表をつかれたという様子だ。
うなってたY森さんが、サビのところから突如1オクターブ上げて歌いだした。
正しい音程に戻った!
と思ったら、リズムが狂い始めた。
ここで私は初めてニヤリと笑った。
いつものY森さんに戻って安心したという感じだ。
次の曲はニール・セダカのヒット曲「小さな悪魔」。
これも、こけ方にいくつもバージョンがある。
この時は歌詞を忘れた。
それも、一番の二節だけ歌って、あとは完全に忘れてしまったときだ。
いまビデオで見ても、おかしいのを通り越して気の毒になる。
本人も辛かっただろうが、一番辛かったのは客席で見ていたおくさんだったと思う。
ビデオを見て、いい供養ができたと思いました。