若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「思い出のグリーングラス」4

この曲の歌い出しが難しいのは「ウラ」から入るからだ。
ヤマハに入って初めて、一拍にオモテとウラがあるのを知った。

Yさんのようにリズム感に難のある人にとって、この「ウラ」から入るというのが大変難しいのである、などと書くと、あんたにひとのことが言えるのかという大合唱がたちまちにして湧き起こり、合唱隊のメンバーはと見れば、センベー君など顔になじみの数十人、張り切って指揮を取るのはもちろん尊師、見事な混声四部合唱で歌い上げられるとたまらんからこの辺でやめますが、Yさんはたしかに声がよく、それもかなり高い声が出るので、「ビロードのような声」と言いたいところだが、それではいくらなんでもほめすぎとYさんが恐縮するだろうから、少しだけ遠慮して「洗いざらしの古いビロードのような声」と言っておけば当たらずと言えども遠からず、Yさんの声の魅力をご理解いただけると思うのであるが、そのYさんの唯一のアキレス腱、と言えばまたもやYさんが恐縮するといけないので、西国八十八箇所札所にちなんで頭のてっぺんからつま先まで八十八箇所、いわば全身これアキレス腱、どこを突っつかれても致命傷というYさんのアキレス腱中のアキレス腱がリズム感なので、この曲は、言ってみればスタートラインのすぐ先に落とし穴があるみたいなもので、Yさんにとってはこけて当然という曲なのである。

その、こけて当然の出だしを、1番はまともに歌ったのだ。
となると、確率的に見ても統計的に見ても理性的に見ても感情的に見ても、生物学的に見ても天文学的に見ても、人が死を免れないように、2番でこけるのはYさんにとって逃れることのできない定められた運命なのである。
ここはあきらめていさぎよくこけてもらいましょう。
じたばたしてはいけません。
見苦しい。

さていよいよ2番!
奈良を代表するおしゃれなライブバー「Y&Y」におこしのお客様、まもなくマグニチュード785程度の激震が襲いますので、座席のシートベルトをおしめください。
立ち見の方はお近くの柱に身体を縛り付けてお待ちください。
非常階段は入り口ドアの右手になっております。
縄梯子は窓の下、救命胴衣と酸素ボンベは各テーブルに備え付けてございます。

それでは、ぼかしもモザイクも一切なし、赤裸々に、18禁的に、ご陽気に参りましょう!
サア!皆様、お待たせいたしました!