朝、私が降りる駅でよく見かける女の子がいる。
小学生の頃から見かけた子で、今は高校生だと思う。
この駅から乗って、学校へ行くようだ。
成長の障害があるのだろう、背が極端に低くて、私の腰くらいまでしかない。
目も悪いようで、かなり度のきつそうなメガネをかけている。
今朝、駅から出て歩いていると、その子がむこうからやってきた。
ハンチング帽をななめにかぶって、ズボンは、だぶだぶでポケットがいっぱいついた、若い女の子がよくはいているものだ。
これほど小さいサイズはないと思うから、お母さんが作ってやったのだろうか。
この子はとてもおしゃれなのだ。
二、三年前それに気づいた。
中学に入った彼女はセーラー服を着るようになった。
何の変哲もないセーラー服を着て、白いソックスをはいている。
中学生になったんだねー。
私はなんとも思わず彼女のセーラー服姿を見ていた。
ある朝のこと、向こうから歩いてくる彼女をボーっと見ていた私は、天の啓示を受けたかのように突如悟った!
ルーズソックスだ!
それまで気づかなかったが、たしかにこれはルーズソックスだ。
背が小さいからたるんでいるのではない!
むむ〜!おぬし、やるな!
と思って改めて見ると、スカートはミニスカートではないか!
それも、超ミニだ!
背が小さいからスカートも短い、というのではない。
まちがいない!
この子は、ウルトラルーズソックスに超ミニスカートをはいているのだ。
く、く〜〜〜!
よくも今までワシの目をごまかしておったな!
やられた!という感じでうれしくなってしまった。
しかし、やられっぱなしでは情けない。
これは校則違反ではないのか。
彼女のセーラー服には名札がついていて、学校名も彼女の名前もわかる。
私は、生活指導の先生に電話をした。
「お宅の生徒の○○さんは、ルーズソックスをはいていますが、校則違反ではないですか」
「校則違反です」
「では、ルーズソックスはやめるよう厳しく指導すべきではないですか」
「指導もルーズなんです」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!」