CDを作り、本を作って縁のある人たちに配る。
作って配るといろんな反応が生じるのが楽しい。
『今日はラッキー!』の最初にとりあげた「御前献血」の主人公、妹の友人A子さんから抗議がきた。
とりあげてくれたのはいいが、なぜブラウスのことを書いてくれなかったのですか。
失礼しました。
私は、妹からA子さんのブラウスの話は聞いていなかった。
以下、A子さんの話。
A子さんは、○○宮妃殿下の御前に出るというので、絹のブラウスをあつらえていたのだ。
TPOを考えて、赤十字のマークと注射器の柄を刺繍でちりばめてもらった。
妃殿下の前で、腕をまくるなど無作法であるので、袖にゴムを仕込んで、糸を引っ張ったら自動的にするすると袖が上がるような細工もしてもらった。
なんやかやで、十万円かかったそうである。
妃殿下は、献血ベッドに横たわるA子さんに近づき、お声をかけようとしてブラウスの赤十字と注射器の柄に気づき、「こ、こ、これは!」と、顔色を変えてA子さんをみつめた。
そして、A子さんがにっこり笑って会釈し、糸を引っ張って、ブラウスの袖が音もなくするするっとあがったとき、妃殿下は、「あっ!」と叫んでよろめき、おつきの人が支えたということである。
以上のエピソードは改訂版で追加させていただきますが、初版をお持ちのかたはお手数ですが、上の部分をプリントアウトして、『今日はラッキー!』の「御前献血」末尾にセロテープではりつけてください。