イソップ寓話「北風と太陽」のお話は誰でも知っている。
北風と太陽が、旅人のコートを脱がせる競争をする。
北風がびゅうびゅう吹きつけると、旅人はコートを必死に押さえる。
次に太陽がぽかぽかと暖かい日差しを送ると、旅人はにっこり笑ってコートを脱ぐ。
人に何かをさせるとき、強制するよりも、暖かく接して本人がその気になるようにすることが大事だ。
というような話だと思いこんでいた。
昨日、たまたま「北風と太陽」の絵本を3冊読んで驚いた。
北風はびゅうびゅう吹いて失敗するのだが、太陽は「ぽかぽか」で脱がせるのではないのだ。
3冊とも、「ぽかぽか」で旅人が「暖かくなってきたな」と思うと、太陽は、「いまだ!」と張り切って、ぎらぎら照りつけ、旅人が暑さに悲鳴を上げると、太陽は「もう一息だ!」と叫んでジリジリと背中を焦がすように燃え上がり、たまらず旅人はコートを脱いで水に飛び込む。
「暖かい日差し」ではなく「殺人光線」である。
この話から、「無理強いより説得」とか、「叱るよりほめて育てる」とかいう教訓を引き出すのはどう考えても無理だ。
コートを脱がせるには、「熱波」という暴力のほうがが「冷風」という暴力より有効だったという話だ。
韓国は北朝鮮に対して、「太陽政策」をとっている。
アメリカや日本などのように、経済制裁で締めつけるのではなく、食料や医療用品を援助して北朝鮮の変化を促そうというのである。
「北風と太陽」の話をちゃんと読んでませんね。
イソップの教訓がわかっていない。
北朝鮮が、「ありがたい。もっとちょうだい」と思うようでは「太陽政策」ではないのだ。
連日連夜、航空機で、食料品、衣料品、家庭電化製品、日用雑貨などを北朝鮮全土に大量に投下する。
偉大な将軍様が、「やめてくれ!」と悲鳴をあげるまで続ける。
「これはいったいどういうことじゃ?」
「は。将軍様。韓国の、イソップ寓話に基づく『太陽政策』です」
「イソップはストップじゃ!」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!」