私が持ってる電子辞書のおまけ(?)に「日本文学1000」というのがついてて、それに入ってたんです。
『浮雲』と『蒲団』、似てると思いました。
題名が漢字でふたつ。
いや、そういうことじゃないです。
中身が似てる。
どちらも男と女の物語である。
男が主人公である。
二人とも、ウジウジイジイジしてる。
一番似てるのは、どちらも非常にしょーもないということだと思いました。
どちらの男も、女を好きになるんですが、頭の中でいろいろ考えるだけなんです。
考えることは二人とも同じです。
「彼女はボクのことを好きなのじゃなかろうか。日ごろの言動からすると、きっと好きなんだ。いや待てよ。きのうの言動からすると、好きではないのかもしれない。よくわからん。直接聞いてみよう!いや、だめだ!そんなことはできない。きっとボクのことが好きだ。いや、やっぱりちがうかな」
「彼女はあいつのことが好きなのかもしれない。日ごろの言動からすると、きっとそうにちがいない。いや、しかし、ボクを見る目からすると、あいつのことなんか好きじゃないはずだ。いや、やっぱり・・・」
二人ともこういう人です。
明治の男って、みんなウジウジイジイジしてたんでしょうか。
こんなことで、よく日清日露の大戦争ができたもんだと思いました。
二葉亭四迷は、『浮雲』のとちゅうで、「おことわり」みたいなのを書いてます。
「この小説は、つまらない話を種にして書いたので、出てくる人間も出来事もつまらないです。それは私もわかってます。でも、つまないことの中にもおもしろいことがあると思うんです」
で、書いてて、やっぱりつまらないと思って、未完のまま放りだしたんだと思います。
『浮雲』を読み終わって、あれ?と思ったのは、「おじさん」のことです。
主人公は、おじさんの家にやっかいになってる。
おじさんの一人娘を好きになった。
おばさんも重要な登場人物である。
ところが、おじさんが出てこないんです。
全然出てこない。
私が読み飛ばしただけかとも思うんですが、読みなおす気はしません。
単身赴任かな。
後で出すつもりだったのかな。
『浮雲』の「おじさん」について知ってる方教えてください。