若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

映画『七色の花』

原節子についてネットで調べてたら、『七色の花』という映画があるのを知りました。

聞いたことない、ということはたいした映画ではないんだろうとは思ったんですが、杉村春子が共演ということで買いました。

たいしたことなかった。
というか、わけのわからん映画でした。

DVDの入れ物に、「原節子、自殺未遂!」と書いてあるけど、映画の中で原節子が演じた女性が自殺未遂なんですよ。
入れ物からしてわけわからん。

昭和25年の映画で、芸術祭参加作品で、その年の「キネマ旬報ベストテン」の10位に入ってるというのが、これまたわけわからん。

主人公の男は、戦争から帰ってきて、「戦争でひどい目にあった人たちのために書く!」と決意して書きまくって流行作家になる。

彼は、戦争から帰った直後、焼け跡でセーラー服の女学生と出会う。
彼女は、戦災孤児で、生きていくためには身体を売るのも当然と思っている。
男は、そんなことをしてはいけない、と言って養ってやる。

流行作家になった男の豪邸で、彼女は、養女兼お手伝いさんみたいに暮らしてる。

そこに現れるのが杉村春子
踊りの師匠で、○○公団のえらいさんの妾である。
彼女は流行作家を好きになって追いかける。

色気を振りまくのが痛々しい。
名優杉村春子にして痛々しいのだから見てられないほど痛々しい。

さて、作家と二人山里に遊んで、川を渡るとき作家におんぶしてもらう。

その時、杉村春子が、「こわ〜い!」と言うんですが、はっきり言って気色悪い。
杉村春子に対する敬愛の念が一気に吹き飛んでしまうほど気色悪い。

杉村春子をおんぶして川を渡った作家が、おんぶしたまま草原を猛スピード駆け巡る。
流行作家というより、密林の王者ターザン!という感じである。

背中で杉村春子が、「きゃ〜!」と嬌声をあげるんですが、さっき「こわ〜い!」を聞いてしまってるからそれほど気色悪い気はしない。

さて、原節子ですが、なかなか出てこないんですよ。
お待たせしました!という感じで現れます。
大学教授の娘という、原節子らしい役どころです。
教授は、息子がボルネオで戦死して、気が狂ってしまってる。

いろいろわけのわからんことがあって、原節子は、山の湖で入水自殺を図る。

山の静かな人影もない湖なのに、なぜわかったのか知らんけど、すぐに捜索が始まる。
この捜索がすごい。

モーターボートが湖面を全速力で疾走する。
捜索というより、笹川良一杯争奪モーターボートレースという感じです。

で、原節子は、めでたく流行作家の奥さんになる。
彼女の良い奥さん振りが2分くらい楽しめる。

ラストは、杉村春子の日本舞踊を5分くらい見せつけられる。
踊りながら映画が終わるのが、芸術祭参加作品らしさかな。

昭和25年、戦後間もないころという時代は感じますね。

戦災孤児を拾って育ててやる話は、当時の直木賞作品にも出てきました。
そのころの日本人にとって、「戦災孤児」というのは、なんとなく気になるうしろめたい存在だったんでしょう。
心やさしい大人が拾って育ててやる話に救われたんじゃないでしょうか。

映像はきたないし、音声は聞こえにくいし、話はわけわからんのに、最後まで見てしまった。