会長だった2年間は、準備とかで大変だったけど、今年は「書記」なので、気楽なもんです。
会長のAさんも二度目の会長役だし、安心です。
きのう、Aさんが私に、「今日は、ぱっぱと進行しようと思います」と言ったので、何か用事があるのかなと思いました。
ぱっぱと進行しました。
史上最短で終わるかと思いました。
すべての議題が終わって、Aさんが、「ほかにございませんようでしたら、本日の班長会、これで終了・・・」と言ったとき、Bさんが手を上げた。
Bさんは、ろうあの方ですが、何年か前は自治会の役員を務めたこともある積極的な方です。
ちょっとあわてん坊で、困ったとこもありますが。
何を言い出すのかと、緊張しました。
Bさんは、向かいにすわった手話通訳者に、何事か伝えました。
それを受けて手話通訳者が発言。
「この町に住んで40年になりますが、今回初めて自治会のバス旅行に夫婦で参加しました。皆様とともに楽しいひと時を過ごせたことを感謝いたします。妻からも皆様方にくれぐれもよろしくとのことです」
よかったよかった。
会場に暖かい空気が流れたのであった。
和やかな雰囲気のなかで会長が、「ほかにございませんようでしたら、本日の班長会・・・」と言いかけたとき、またBさんが手を上げた。
手話通訳の人が、Bさんを見ながら、「公園に・・・草がぼーぼーと・・・はえています。・・・夏休みに・・・」
夏休みに、小さい子供を連れたお母さんが公園に遊びに来て、草が生えているので、草を刈っていたのが気の毒でした。自治会で刈ってやれ」ということのようであった。
で、市の公園緑地課の話から、市民管理から草刈り機の安全性、高齢化による担い手不足など、公園の草にかかわる諸問題を語り合ったが結論は出ず、会長が、「Bさんがやろうとおっしゃるなら、自治会で草刈り機は購入しますが」と言ったら、Bさんはニコニコ笑いながら手を振った。
で、会長が、「ほかにございませんようでしたら」と言いかけたとき、またもBさんが手を上げた。
手話通訳の人が、「町内にあるゲートボール場ですが・・・・草がぼーぼーと・・・」
Bさんは、草ぼーぼーが気になる人のようです。
で、草ぼーぼーのゲートボール場の話になった。
最近使われてませんな。
この数年、いや十年・・・。
以前は盛んでしたね。
盛んなころから言い争いが絶えませんでしたね。
そうそう、ゲートボール場でよくけんかしてましたね。
お年寄りがみっともなかったですね。
それがいつのまにか草ぼーぼーで。
会長がイライラと、「Bさん、Bさんはゲートボールがなさりたいんですか?」
Bさんがニコニコと手を振って、草ぼーぼーのゲートボール場の話は終わった。
で、会長が、「ほかにございませんようでしたら」と言いかけたとき、またもやBさんが手を上げた。
手話通訳者が、「公園で・・・たばこを・・・」
夜、公園でたばこを吸ってる人があるというんです。
Bさんの家の二階から、たばこの火が見えるそうです。
会長がイライラと、「で、どうしろとおっしゃるんですか」
会長の思い通り、ぱっぱと進行して、あたたかく和やかな雰囲気で終わるはずだった班長会が、会長の意に反してずるずると長引き、わけのわからん感じで終わったのであった。