キンドル無料本シリーズです。
二、三十年前に文庫本で読んだんですが、すっからかんに忘れてます。
キンドルの大きい字なればこそ読み返す気になります。
大正時代にアメリカに留学した伸子さんの話です。
お金持ちの賢い娘さんです。
留学先のアメリカでろくでもない日本人男性と知り合う。
ろくでもない男と決めつけるのも気の毒なんですが、作者の宮本百合子さんの描写がそうなんです。
そして、宮本さんは自分でそう描くだけでは満足できなかったようで、何人もの登場人物の口から、彼がろくでもない男だと言わせてます。
すべての読者が彼のことをろくでもない男だと感じると思います。
作者と登場人物が声を合わせて「ろくでもない男だよ~!」と叫んでて、読んでる私も「こいつはろくでもない男にちがいない」と思ってるのに、どういうわけか伸子さんはその男に心を奪われて結婚するんです。
ここまでで始まってから3割ほどです。
あとどうするの?と心配になる。
もちろん、作者と登場人物が声を合わせてろくでもな男だと叫ぶのを聞いた伸子さんが「じゃ結婚や~めた!」と言ったら小説としておもしろくないとは思います。
そうは思いますが、これではあまりにも伸子さんがかわいそうじゃないでしょうか。
不幸な結婚生活になるのは目に見えています。
いや、ひょっとすると意外や彼はいい人で伸子さんは大変幸せな結婚生活を送るのかもしれない。
しかし、それはそれで面白くなさそうです。
う~ん、私は何を求めているのであろうか。