イギリスの障害競馬の本を日本の競馬も知らない私が読んでわかりにくいことがいろいろあるのは当然です。
日本の競馬は国営みたいなもんですかね。
イギリスは勝手にやってるみたい。
あまり勝手すぎるのもいかんということで変わっていってるみたいですが、もともと貴族の馬くらべからはじまったんだから好き勝手にやってて当然です。
走るのも自分の領地で、丘あり川あり藪ありだから障害レースが基本ですね。
だから今でも障害レースが人気があるのだと思ったら、障害レースのほうが番狂わせが多くてバクチとしておもしろいからと言われるとカックンとなりました。
本を読んでけがの多さに驚きます。
死ぬこともあるし後遺症が残ることもある。
日本の場合はたぶん国営だからたぶん手厚い保護があると思いますが、それについては知りません。
イギリスには、「傷害騎手基金」というのがある。
けがした騎手の復帰のためのプログラムから、復帰できない騎手のための援助とか行き届いてます。
傷害障害騎手を生涯面倒見ようというダジャレの宝庫のような基金です。
立派な病院やリハビリ施設が寄付でまかなわれてる。
その基金のためのレースもある。
障害競馬界の伝説的騎手アンソニー・マッコイは、その「傷害騎手基金のためのレース」に出て落馬して大けがをしてます。
彼は2015年に引退して二度とレースには出ないと宣言したんですが、「傷害騎手基金」のためのレースには出場してます。
「傷害騎手基金」のほかに「騎手再就職機構」みたいなのがあって、騎手引退後の仕事について活動してます。
騎手は30代で現役引退がふつうなのでそういう事業ができたようです。
現役騎手に「今から備えましょう」と呼びかけてます。
「今から引退後のことなんか考えてどうする!」という意見もあると思いますが、行き届いてると思います。
「傷害」についても「再就職」についても国じゃなくて関係者がやってるというのがえらいと思いました。
アンソニー・マッコイは20年連続年間最多勝記録という、これからも破られることはないだろうという偉業を達成したんですが、自伝を読んでるとしんどいです。
勝利への執着がふつうじゃない。
ある年、アンソニー・マッコイに次ぐ勝利数を挙げた騎手が「私は最多勝騎手になれるタイプじゃない」と言ってます。
「自分も人なみに勝利にはどん欲だけど、最多勝騎手になるにはどん欲さだけではだめだ。狂ったように取りつかれないとだめだ」と言ってます。
アンソニー・マッコイは子供の小学校の運動会に行って、先生が「参加することに意義がある」というのを聞いて怒り狂ってます。
「参加することに意義がある」という言葉ほどキライな言葉はないそうです。
そうでしょうな。