「パッヘルベルのカノン」を初めて聞いたのは大学を出てすぐのころです。
そのころFMラジオをよく聞いてました。
気に入った曲をカセットテープに録音する。
「音質」にうるさい人はカセットテープをばかにしてオープンリールを使ってた。
放送をテープに録音するのを「エアチェック」といってそのための雑誌もいくつかありました。
私は『FMファン』というのを読んでた。
「パッヘルベルのカノン」がなにかの番組で流れてきたのを聞いて美しさに感動してすぐレコードを買いました。
高校美術部の友人で私とちがってクラシックファンで音にうるさくオープンリール派のS君に聞かせたら「これ、なに!?」とびっくりしたように言ったので当時はあまり知られてなかったんだと思います。
しばらくしてFM放送でまた「パッヘルベルのカノン」を流した。
初めに聞いたのはパイヤール室内管弦楽団の演奏で、今度のはちがう楽団でした。
曲の感じがぜんぜんちがうのでびっくりした。
パイヤールのほうが断然いいと思いました。
ところが音楽雑誌を読んでたら評論家が「あとの方がホンモノで、パイヤールのは飾りつけし過ぎだ」みたいなことを書いてたので二度びっくり。
さて、私事ですが、このたびガス給湯器を入れ替えました。
大阪ガスの給湯器です。
最近の器具はいろいろ音声案内がある。
「お風呂が沸きました」と言ってくれる。
言ってくれるだけでなくBGMつきです。
今まで使ってたのは、「なんかメロディが流れてるな」という感じだったんですが、今度買ったガス給湯器はなんと「パッヘルベルのカノン」の調べに乗せて「お風呂が沸きました」と知らせてくれる。
これが腹立つ。
音が情けない電子音である。
これは許せないけど許してもいい。
どうしても許せないのは速度です。
ものすごく速い。
東海道新幹線のぞみ325号発車のお知らせレベルの速さである。
駆け込み乗車を誘発するような速さである。
毎晩これが鳴り出すと思わず腰が浮く。
大阪ガスに文句を言おうかと思ったけどやめとこ。
「これが本来の速度なんです。素人はこれだから困る」と言われるかもしれない。