「モールス信号」はよく知ってます。
「トトト・ツーツーツー・トトト」が「SOS」だということだけ知ってる。
「モールス信号」と聞いてぱっと浮かぶのは「嵐の海」です。
巨大な波に今にも飲み込まれそうな船。
船員が脂汗を浮かべて必死の形相で打電する。
「トトト・ツーツーツー・トトト」
画面が変わって基地の無線室。
打ち出されてくる紙を見て技師がハッと驚いて所長室に駆けつける。
「所長!日昇丸からSOSです!」
「ナニッ!」
こういう感じの場面をテレビや映画で何度も見たように思います。
「モールス信号は子供のころから知ってますよ」という感じで今日まで来ました。
『アメリカ政治における妄想症候群』という本を読んでます。
「被害妄想」という精神疾患がある。
まわりの人から非難されてる、責められてる、危害を加えようとされてると思いこむ。
これが社会的にも起こるというんです。
「我が国が狙われてる。我が国の宗教、文化を絶滅しようという巨大な国際的陰謀がある。我が国は孤立無援である」
どこの国でもこういうことが起きる。
アメリカも建国以来繰りかえし集団的被害妄想が発生してるという本です。
その中でよくあるのが「カトリック教会がアメリカのプロテスタント教会を滅ぼそうとしている」というものだそうです。
『合衆国の自由に対する海外の陰謀』(1835年出版)という本がある。
「ローマ法王とヨーロッパの専制君主たちがアメリカを滅ぼそうとしている。すでにイエズス会の宣教師たちが送り込まれアメリカ全土で活動している。彼らの陰謀が成功すればアメリカにハプスブルグ家が乗り込んで来てアメリカ皇帝を名乗りアメリカ人を支配するのだ。アメリカ人よ、目を覚ませ!」
この「トンデモ本」の著者は、「有名な画家であり電信の発明者であるS.F.B.Morseである」と書いてあるのを読んで、「え?電信の発明者って、ひょっとしてモールス?」と思ったんです。
そうでした。
モールス信号を発明したのが有名な画家だというのも意外だし、狂信的反カトリック主義者で奴隷制擁護の人種差別主義だったこともびっくりです。
モールス信号は他の通信手段の発達で徐々に使われなくなって、今も使ってるのは日本の漁船くらいだそうです。
モールスってどんな人か知りたくなってきました。
あれこれ知りたくなるのも困ったもんです。