『提督たち』を読み終わりました。
この本が取り上げた4人の提督、ウイリアム・リーヒ、アーネスト・キング、チェスター・ニミッツ、ウイリアム・ハルゼーはアメリカ史上最高位の五つ星提督です。
アメリカ海軍の大拡張期と第二次大戦という海軍大活躍の時代に海軍のトップにいたので「五つ星」を与えられたと言えます。
最後のほうに原子爆弾が出てきます。
原子爆弾は最高機密なので、ルーズベルト大統領急死の後を引き継いだ副大統領トルーマンは知らされてなかった。
1945年4月に大統領になって初めて科学者の説明を受けたんですがその時ウイリアム・リーヒも同席してます。
科学者たちはたぶん原子力爆弾のとんでもなくややこしい原理ととんでもなくすさまじい破壊力について説明したんだと思います。
もちろんトルーマンは「なんのこっちゃ?」という感じだったと思います。
で、リーヒに質問した。
「キミは今の説明を聞いてどう思う?」
「爆弾の専門家として言わせていただきますが、あんなもん爆発しませんよ」
戦後処理を話し合うポツダム会議(1945年7月17日~8月2日)にもリーヒは大統領に同行した。
7月16日に原爆実験が成功したという知らせがポツダムに届いてからもリーヒは半信半疑だった。
ポツダム会議が終わって帰国途中イギリスに立ち寄ったときリーヒは国王ジョージ6世にこう言ったそうです。
「あれは博士たちの夢みたいなもんです。大きなこと言ってますが大した威力じゃないと思います」
イギリスからアメリカへ向かう船上で広島への原爆投下と被害状況を知らされた。
その時初めてリーヒは自分の判断が間違っていたことを悟った。
4人の提督は全員原爆投下に反対してます。
投降直前の日本に使う必要はないということです。
リーヒとニミッツは人道的理由を挙げてます。
4人とも大量破壊兵器原子爆弾に嫌悪感、拒否感を持ってたようです。
無差別爆撃を繰り返してるのにと思いますが、この新兵器は異質の恐るべきものと映ったようです。
4人とも若い時に遠洋航海で日本を訪れて東郷平八郎や戦艦三笠に感銘を受けてます。
彼らにとって海軍とはトラファルガー沖海戦や日本海海戦を戦うものだったんでしょう。
ニミッツは「こんな時代に生まれてこなければよかった」と言ってます。
東郷平八郎やネルソン提督にも悩みはあったと思いますが。