きのう高校美術部でいっしょだったT君が来た。
彼とは3年の時いっしょの組だった。
「茶話会」を思い出した。
わが校では学年の最後にクラスで「茶話会」という年よりくさいことをやった。
机をぐるっと「ロ」の字型にならべた。
お茶とお菓子が出たかはおぼえてません。
一人ずつ歌を歌った。
私も歌ったんだから全員だったと思います。
私は古今亭志ん朝の歌を歌った。
当時志ん朝がレコードを出して一瞬話題になった。
題名は忘れたけど「カネも彼女もないけど夢だけはある」というような歌だった。
(今ウイキペディアで調べたら歌のレコードは3枚出してて1963年の「ないないづくし」という曲のようです)
他は津田塾に行ったAさんが「ケセラセラ」を英語で歌って、さわやかでかっこいいと思ったのだけおぼえてる。
だいたい当時はやりの歌謡曲だったと思います。
そこへT君がすっくと立って「『ボルガの舟歌』を歌います!」と高らかに宣言したので座が白けた。
そしてT君が教室に響き渡るような声で「♪くおん~~~~にとどろ~く、ボルガ~~~~のながれ~~~!」と「ドンコサック合唱団登場!」という勢いで歌いだしたとき座が白けるのを通り越して気まずさが充満した。
場違いというか何考えとるんやというか全員一致の気まずさであった。
モスクワから来演のドンコサック合唱団主席テノールT君も満場一致の気まずさにはさすがに圧倒されたようで一節でやめた。
苦笑いして「なんか、みんなあっけにとられたみたいやけど・・・」と言って気を取り直して改めて「♪くおん~~~にとどろ~く・・・」と最後まで歌い切ったのは立派なものと言っていいのか判断に迷うところである。
彼は1年生の時美術部員でただ一人授業は音楽をとった。
芸術科は美術、音楽、書道の選択だった。
「美術だけをやるのはダメだ!クラブは美術、授業は音楽!」というのでスジが通った男だと感心した。
その彼が2年から音楽から美術に転向した。
なぜか。
成績表での美術の点は20点なんですが、わが校ではなんと美術部員は1年生18点、2年生19点、3年生20点と決まってたのだ。
それを知ってあっさり転向したのだ。
感心して損した。