若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

○○銀行××支店の爆弾娘

 昨日銀行に行った。窓口の女性たちのにこやかな応対を見ていて、数年前のことを思い出した。

 その日も、窓口の女性たちが、「お待たせしましたっ」「ありがとうございました!」と、にこやかに、明るい声を発していた。
 かわいい娘さんたちだなー、息子の嫁に、なんて言いたいところだなー、とホノボノと眺めていた。
 一瞬我に返った。若い娘を見て、ホノボノしてるトシか?ムラムラせんといかんのじゃないかと反省した。

 珍しく、小学生の男の子が二人で来ていた。二人は、「まだかなー」「聞いてみよ」と言って、A子さんの窓口に行った。彼女は、人一倍明るく元気な女性であった。
 A子さんは、ちょうどお客さんに通帳を渡したところであった。いつものように、明るく、にこやかに、はきはきと、「お待たせしましたー!ありがとうございました!」と言って、首をちょいと曲げた。なかなかかわいいしぐさである。

 男の子が、「ボクのまだですか?」とA子さんに言った。
A子さんは、グイッと男の子をにらんだ。首を突き出して口をとんがらせて、憎々しげに
「まだですーっ!他のお客さんも待ってはるでしょ!出来たら呼びますー!」と言い放った。
 男の子たちはすごすごと席に戻った。

 う〜む。いくら相手が小学生でも、自分まで小学生モードにならんでもいいではないか。銀行の支店というより、5年3組の教室という感じであった。
 息子の嫁にはちょっとなー。

 また別の日。新人が配属される時期であった。A子さんの隣の窓口にも、新人がいた。
 A子さんが、客に通帳を渡している。いつものように、明るくにこやかに。その時、隣の新人女性が、A子さんに、「これはどう・・・?」と質問しかかった。
 A子さんは、グイッとにらみつけると、ドスのきいた声で「後ろにまわしっ!」と一喝した。
 息子の嫁にはちょっとなー。

 そのうちA子さんの姿が見えなくなった。
男性行員が会社に来たとき聞くと
「彼女、結婚してやめました」

 一呼吸置いて、彼はためらいながら私に聞いた。
「あの子のこと、どう思われてましたですか?」

 ど、ど、どう思われてましたか?
い、いや、べ、別にボクは、と言い訳しそうになった。

「いや〜、大変な子だったんです。あの子がいなくなって、店が静かになりました」
 
 そうだったのか・・。
彼女のだんなさんの幸せを祈った。