メイデイです。
私が初めて、「メイデイ」という言葉を知ったのは、約50年前のことである。
父に連れられて、「深く静かに潜行せよ」というアメリカ映画を見に行った。
第二次大戦の話で、アメリカの潜水艦が、日本の「秋風」という駆逐艦をやっつける物語であった。
駆逐艦をやっつけるために、猛訓練をする。
たしか、「のど笛作戦」という戦法でやっつけるのである。
その、戦いの時か、訓練の時か、「緊急事態発生!」みたいな感じで、
「メイデイ!メイデイ!」と叫ぶのが印象的であった。
アメリカ海軍では、そういう使い方をするのでしょう。
子供のころ、映画を見に行って記憶に残っていること。
小学5年の時だったか、同じ組の鈴木君と、「曽我兄弟富士の裾野の仇討ち」というのを見に行った。
題名どおりの映画である。
悪者たちが酒盛りをしている。
盃で、白い液体を飲んでは、「ガハハハハ!」と、悪者らしく笑っている。
その頃、私は、「濁り酒」というものを知らなかった。
何を飲んでいるのかな?と思いながら見ていた。
鈴木君も同じだったようで、私にそっと質問した。
「あれ、何飲んでるんやろ?」
私も、反射的にそっと答えた。
「牛乳とちがうか」
突如、隣の席のおじさんが、プーッと吹きだしてゲラゲラ笑いだした。
私は、ムカッとした。自尊心が傷ついた。