若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『第七天国』

映画『第七天国』を、DVDで見ました。

1927年作のアメリカのサイレント映画で、アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚本賞受賞、1927年キネマ旬報外国映画ベストテン第1位というのだから名作ですね。
知りませんでした。

なぜこんな映画を見る気になったか、話せば長いが、話さなければわからん。

伯母が遺した日記(「ある職業婦人の日記」です)に、「第七天国」という言葉が出てくるんです。
伯母は、昭和のはじめごろ、大阪の高島屋百貨店に勤めてました。
人事部所属で、職場が七階にあって、七階のことを、ふざけて「第七天国」と言ってたんだろうと思ってました。

日記を読んでからしばらくして、DVD売り場で、映画『第七天国』を見つけた時はビックリしました。
映画のタイトルだったのか!
当時評判だったこの映画からとったことばだった。
流行の最先端を行く自他共に許すモガ、伯母さんご自慢の、とってもおしゃれなネイミングだったんですね。

そのときは、こんな古い映画を見る気はしませんでした。

先日、『パリのスタジオ』という、19世紀末のパリの画家たちのアトリエについて研究した本を読みました。
当時、パリは大改造の時代で、新しいビルがどんどん建ったようです。

貧乏画家たちは、安いアトリエを求めて、そのころはへんぴな場所だったモンマルトルや、モンパルナスのアパートを物色した。
エレベーターや水道もないビルだから、最上階である七階が一番家賃が安かった。

「最上階の七階」というのが何度も出てくるのですが、高さ制限があったんですかね。
ビルの一階か二階に住んでいる人と、上の階に住んでいる人では、「階級」がちがったそうです。

七階の住人というと、「貧乏人」だったんですね。

「七階」にはそういう意味が含まれていたのか。
女性としては高給取りのパラサイトシングル、おしゃれ命の伯母に、「貧乏」は関係ないですが。

高島屋人事部と、パリの貧乏画家のアトリエを結ぶ、いや、結ばんか、まあどうでもいいけど、「第七天国」を見る気になったんです。

サイレント映画を見るのは初めてです。
2時間の大作、サイレントでだいじょうぶかな。

すぐ、だいじょうぶだと安心しました。
「サイレント」というのは「字幕付き」です。
今、私が外国映画を見るのといっしょです。

今のと比べると、だいぶ字幕が少ないですが。
でも十分理解できます。

このDVDには、音楽がついてましたが、それもいらないんじゃないかと思いました。
それくらいよくできた映画なんでしょう。

お話としては、単純な純愛映画と言えると思いますが、古い良い映画だと思います。

90年前のサイレント映画でもおもしろい。
『ヒューゴ』は・・・。
映画って難しいんですね。