エミール・ゾラの小説『制作』を読みました。
印象派の画家たちをモデルにした話だというので読む気になったんです。
ゾラは、子供のころからのセザンヌの友達です。
パリでジャーナリストとして活躍して、当時世に入れられなかったセザンヌや印象派の画家たちを応援した。
そのころの美術界を舞台に小説を書いたんです。
当時のパリ画壇の様子がわかるだけでも面白い。
印象派の画家と目される登場人物のモデルは誰かというような話題にもなったようです。
モデルと思われるマネやセザンヌは、気分を害してたそうです。
気分を害するのはしかたないです。
小説の中で、画家として成功する男はいないんです。
皆さん、悲惨です。
主人公なんか、首つり自殺する。
それだけならいいんです。
ゾラを思わせる小説家が出てくる。
セザンヌを思わせる幼馴染の画家や、悪戦苦闘する青年画家たちを精神的に支えてやる。
いい役です。
それだけならいいんです。
彼だけが作家として成功をおさめるんです。
経済的にも恵まれて、立派な家に住み、奥さんと幸せな結婚生活を送るんです。
他の登場人物は全員ダメ男。
彼だけは、性格的にもいい人なんです。
いつまでたっても経済的にも家庭的にも恵まれない友人たちを哀れに思って、パーティを開いてやるんですが、その席でもみんないがみ合う。
そして、首つり自殺。
まあ、この小説を読んだら、ゾラの友人画家たちは気分悪かったと思います。