アマゾンで買った本です。
この本は、アントワープ生まれの画家ヴァン・ダイクの生誕400年を記念して1999年にアントワープとロンドンで開かれた回顧展の豪華カタログです。
こういうものが手に入るんだからアマゾンありがたいもんです。
ヴァン・ダイクは特に肖像画が有名で、王侯貴族や富裕層からの注文が殺到したということなので、肖像画家を目指す私にとって気になる存在であった。
が、この本を読んで、こんな人のことを気にしてもしかたないと思った。
神童ですよ。
相手にしないでおこう。
10歳の時、アントワープで有名だった画家の工房に徒弟として入ってます。
「10歳で徒弟奉公」というと、「辛くて厳しくてかわいそう」というイメージですが、ちょっとちがうのではなかろうか。
ヴァン・ダイクの家は裕福な商人です。
先生も、裕福な商人の息子だったそうです。
有名な画家の工房に弟子入りするというのは、今で言えば、一流企業に就職するみたいなものだったんじゃないでしょうか。
画家というのは、王侯貴族、教会、大金持ちから注文を受ける企業家ですね。
当時一番有名だったルーベンスは、「弟子は取らない」と言ってます。
「弟子入り志願者を100人以上断ってる。ウチの工房は、よそで修業を済ませたすぐ役に立つ男しかいらない」
「新卒不可。経験者優遇」
そのルーベンスが、10代のヴァン・ダイクに目をつけた。
ヘッドハンティングというやつでしょう、18歳の時には、「ルーベンス工房制作主任」みたいな感じです。
ルーベンス工房からもすぐ独立、売れっ子画家一直線です。
イギリス国王チャールズ一世が、ヴァン・ダイクに惚れ込みます。
イギリスに招かれてちやほやされる。
画家というより王侯貴族の暮らしだったそうです。
広大な邸宅に、国王や貴族たちがしょっちゅうやってくる。
肖像画の注文は殺到してガバガバ儲かる。
おもしろくない話である。
しかし、ご安心下さい、面白い話もあります。
イギリスで、マーガレット・レモンという愛人ができるんです。
同時代のある版画家が、マーガレット・レモンのことを、「デンジャラス・ウーマンであった」と断言してます。
「嫉妬の鬼」だったと言うんです。
宮廷で、貴婦人たちがヴァン・ダイクの横に座っただけで、ものすごい騒ぎになったそうです。
宮廷でものすごい騒ぎを引き起こすというだけでもデンジャラスですが、それだけじゃありません。
嫉妬に狂って、「二度と絵を描けないようにしてやる!」と、ヴァン・ダイクの親指を食いちぎりそうになったこともあるそうです。
すごいです。
さすがヴァン・ダイクびいきのチャールズ一世も、この女のことでは呆れていたようです。
「なぜ、マーガレット・レモンみたいな女を愛人にしたのだ?」
「陛下、あれはすっぱいでした」
「ええかげんにしなさい!」
「ホントにネッ!」
↓はなちゃん、ことちゃんのママをモデルに描き始めました。
王侯貴族にモデルになってもらうのも大変でしょうが、家族にモデルになってもらうのも大変なんすから。(ー_ー)!!