ウオルター・シッカートというイギリスの画家の伝記を読んでます。
1860年生まれで、イギリス画壇の大物ですが、日本ではイギリス画壇はあまりネウチないので、私も知りませんでした。
『イギリスの印象派』という本で知ったんですが、感心しませんでした。
その人の伝記をなぜ読む気になったのか。
最近読んだ本で、シッカートが、「名詞を描くな、動詞を描け」と言ったと紹介してあったんです。
なるほど!名言である!と思って、シッカートについて知りたいと思って注文しました。
注文してから、「名詞を描くな、動詞を描け」って、なんのこっちゃ?と思いました。
わけわからんなあと思ったんですが、注文した後です。
シッカートは、イギリスに印象派を紹介した人で、当時の進歩派です。
セザンヌについては、「持ち上げられすぎ」と思ってたようです。
セザンヌの静物画で、リンゴが机から転がり落ちそうなのは、深い意味があるのではなくて、単にセザンヌがヘタだったからだとのことです。
セザンヌの、芸術に対する愛はすばらしい。
生涯をかけたひたむきな努力には頭が下がる。
セザンヌは、大いなる失敗者である、と断言してます。
画家の生き方と作品をごっちゃにするなと言ってます。
セザンヌや、野獣派や立体派がなぜもてはやされたのか。
画家にとって、ヘタでもいいということになってラクだった。
批評家にとって、口から出まかせを言ってればいいということになってラクだった。
画商にとって、貧乏な若い画家の絵を安値で買い集めて、宣伝して高く売れるのでおいしかった。
この三者が結託して、おめでたい素人をだまし続けてるというのが、シッカートの結論です。
いいかげんに目を覚ませ!と叫んでますが、現代の美術市場を見たらがっくりするだろうなと思います。
今まで読んだところでは、「名詞を描くな」は出てきません。