若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

フランス悪趣味

『The Studios of Paris』という本を読んでます。

副題が「19世紀後期の芸術の都」で、印象派が活躍したころのパリの画家や彫刻家と、彼らを取り巻くいろんなことが書いてあります。
画家や彫刻家たちの仕事場が写真や絵で紹介してあって楽しいです。
こういう古本を、ロンドンの本屋さんから送料250円で入手できるというのは不思議ですね。

インターネットのおかげかアマゾンのおかげか宅急便のおかげかカード決済システムのおかげか、よくわからんけど、ありがたいことです。

当時全盛を誇ったアーネスト・メッソニエという画家がいます。
フランス画壇に君臨した巨匠中の巨匠ですが、今は、「そんな人もいたなあ」という感じの人です。

この人の「アトリエ」は、お城みたいです。
すごいです。

メッソニエの絵が史上最高の84万フランで売れたころ、印象派の絵は何百フランとか何千フラン、ゴッホなんか50フランの値をつけても売れなかったそうです。

そのメッソニエが、「娘さんを画家と結婚させてはいけません」と忠告してるんですから、一発当たればウハウハだけど、競争の激しい厳しい世界だったんですね。

この本にいろんな絵や彫刻が出てますが、中に一枚実にグロテスクな彫刻の写真があります。
タイトルが、「女を連れ去るゴリラ」というんです。
タイトルからしてえぐいです。

ゴリラが裸か半裸の女性をわきに抱えて走り去るとこです。
ゴリラのわきの下から背中にかけて、投槍が突き抜けてます。
ゴリラは牙をむき出してます。

「おえっ!」となるようなえげつない「彫刻」です。

フレミエという人の作品ですが、これを見て「売れる!」と思った人がいたんですね。
高さ40センチくらいの小さいブロンズ像にして1887年に売り出したところ、爆発的に売れたそうです。

フランス人、趣味悪い!

売れたとなると、柳の下のドジョウとなるのはフランスでも同じのようです。
1895年、フレミエさんは、夢よもう一度と新作を作った。

「ボルネオの土人を絞め殺すオランウータン」

え〜かげんにせ〜よ。

この「ボルネオの土人を絞め殺すオランウータン」は、写真も出てないし、売れたかどうかも書いてないのは残念です。
芸術の都かなんか知らんけど、趣味悪すぎるのでうれしくなります。