『北方ルネッサンス』という本を読んでます。
油絵関係の本は、アチラのものが多い。
英語の本を読むと、まず題名がおぼえられない。
そして、著者名も出版社名もおぼえられない。
題名がおぼえられなくて著者名がおぼえられなくて出版社名もおぼえられないと、非常に頼りないです。
え?
中身もおぼえてない?
た、たしかに。
さて、ルネッサンスというと、イタリアということになってましたが、オランダあたりの方が進んでましたよ、ということのようです。
ルネッサンスとか、印象派とか、いろんな名前があるけど、一言で言えば、「それまでにないことをやった」ということですね。
「それまでにないこと」をするのはむずかしい。
何で読んだのだったか、人物の彫像は、エジプト以来、正面を向いて左右対称形だった。
ギリシャ人が、片足に重心をかけて腰をひねった像を作るまで何千年かかった。
それまでにないことを誰かが始めると、あっという間に誰もがマネをして、流行する。
我々が、ふつうだと思ってることも誰かが始めた。
15世紀に流行ったのは、マリアとキリストが部屋にいて、窓からアントワープとかの町の風景が見える絵。
まあ、自分の町に、マリア様とキリストさんが来てくれたらうれしいですよ。
このパターンはたいへん流行ったそうです。
アルブレヒト・デューラーが、アダムとイブの像の版画を作った。
これが大当たりで売れまくった。
それまでのアダムとイブは、楽園を追放されたみじめな存在だった。
デューラーのアダムとイブは、堂々たる裸体の若い男女だった。
これを見た画家たちは、「お!この手があったか!」とマネしまくって、これも売れまくった。
デューラーは、「それまでにないこと」をたくさんしたので、たくさんマネされた。
怒ったデューラーは、裁判に訴えたけど、判決は、「マネしてもよろしい」だった。
ただし、デューラーのサインは入れたらダメ。
デューラーのサインを入れなければ、デューラーの絵をマネしてもよろしい。
納得できなかったと思います。
版画は大量生産できて安かったのでよく売れた。
油絵よりもうかった。
デューラーの手紙が残ってるそうです。
教会の祭壇画の注文を受けて、みっちり製作に打ち込んで、やっと完成したときの手紙です。
「こんな手のかかる仕事引き受けてエライ損や。版画やってたらどんだけもうかったやろ。1000フロリンはちがうと思います。これからは、版画一本でいきまっせ!」
絵描きも、ビジネス感覚がないとやっていけません。
デューラーは、画家として初めてディーラーを使って、作品を売りさばいたんだそうです。
デューラーがディーラーって、私が語呂合わせして喜んでるんじゃないですよ。
著者が語呂合わせで喜んでるんです。
と思います。