北白川伯爵家の執事横田喜三郎からの電話を受けて急行した私立探偵明智小五郎が見たものは、応接室のシャンデリアの下に横たわる伯爵夫人の死体であった、というようなハデな話ではありません。
家内とテレビを見てました。
「開運!なんでも鑑定団」です。
夫婦そろって毎週どころか、再放送も必ず見る唯一の番組です。
なぜ再放送まで見るのか。
忘れてるからです。
我が家のお宝を鑑定してもらう番組で、毎回同じようなことです。
でも楽しい。
悪い人は出ない。
悪い人にだまされた人が出る。
500万円はする壺ですよと、うまいこと言われて50万円で買ったけど、鑑定してもらったら5000円だった、というようなのが多い。
見ていて楽しい。
逆もあります。
なんとなく気に入って5000円で買ったら、500万円だった。
めったにないけど、これも楽しい。
めったにないから楽しいのかな。
しょっちゅうだったら腹立つかも知れない。
だまされた人は気の毒だと思うけど、楽しいと感じるのも不思議である。
先日、伯母さんからもらった絵を持ってきた男性がいた。
男性が、もらった絵の説明をしてたら、家内が、「えっ!」と叫んだ。
そして、あわてて、「堤千代。小指」とメモをした。
その人の伯母さんは、堤千代と言って、戦前「小指」という作品で直木賞をもらった。
そして、菊池寛からその絵をもらったんです。
なぜ家内が叫んだのか。
10年ほど前、次女の本棚で見つけた文庫本の中の短編小説を読んで心に残った。
最近読み直そうと思ったら、なかった。
次女に聞いたら、本のことははっきりおぼえてないけど、誰かに貸したと思うという。
家内は、もう一度読みたいけど、著者名も題名も忘れてる。
で、「なんでも鑑定団」で、「堤千代」「小指」と聞いて、ああ、これだった!と思い出したのです。
読みたいけど文庫本のタイトルがわからないという。
おまかせください。
名探偵若草鹿之助登場です。
本を探すならアマゾンでしょう。
「堤千代」で調べたら、一発で「小指」が出てきました。
簡単すぎてあっけない。
ワンクリックで注文!と思ってクリックしようとして驚いた。
「21000円」!?!?
なんじゃこれは?
21000円?
私たちは芸術至上主義夫婦です。
芸術のためには金は惜しまない。
惜しみませんが本一冊に21000円はきつい。
初版本とかいうやつかな。
恐る恐る家内に聞いたら、21000円ならいらないと即答でした。
よかった。
でも、家内が読んだのは文庫本。
ほかにあるんじゃないかと、探しまくって見つけました。
田辺聖子編『ロマンチックはお好き?』というのに入ってたんです。
280円。
芸術至上主義なので、家内に相談せず注文しました。
翌日届きました。
上手なおとぎ話という感じでよかったです。
次女に報告したら、次女が買った文庫本のタイトルは、『ロマンチックはお好き?』じゃなくて、『愛の迷宮』だったというじゃありませんか。
はよ言え!
で、アマゾンで調べたら、ありました。
『愛の迷宮』、1円!!!
1円!!!
あわてて注文しました。
なんたって芸術には金は惜しまない主義ですからね〜。
こっちは、海外作分も含めた短編集で、お買い得でした。ヽ(*´∀`)ノ