次女の結婚式まで、二週間ほどになった。
意外なことに、私は落ち着いています。
「花嫁の父」の話を色々読んで、披露宴で泣いたりしないかと心配していたのであるが、これならだいじょうぶですね。
今日は、次女の高校時代の友達、Sさんが来た。
高校の音楽科で、Sさんはバイオリン、次女はピアノ科だった。
披露宴で、Sさんがバイオリンを弾いて、次女がピアノで伴奏する。
次女は、趣味のピアノになったが、Sさんは、京都芸大を卒業して、プロの演奏家として活動している。
結婚も早く、三人の男の子の母親である。
高校時代、次女が伴奏を頼まれて、二人が我が家で練習するのをよく聞いたものだ。
家内と、長女といっしょに聞くことが多かった。
Sさんが、初めてウチに来たとき、バイオリンっていい音だなあと感激した。
それまで、目の前で、という経験がなかった。
Sさんのバイオリンの値段にも感激した。
バイオリンの弓の値段にも感激した。
私の自慢の38万円のエレキギターなんか、すかみたいなもんだと思った。
Sさんは、楽しい女子高生だった。
一年生のバレンタインデイ、学校から帰った次女が、ニヤニヤしながら紙包みを渡した。
「これ、Sさんが、おじちゃんにって」
しわくちゃのノートの切れっぱしの中に、チョコレートがひとかけら。
かけらですよ。
学校で、「あ、今日、バレンタインデイ!」と叫んだSさんは、通学カバンをがさごそ探って、食べ残しのチョコレートのかけらを見つけたというのだ。
義理チョコにもほどがある。
こ、これでホワイトデイに・・・。(-_-;)
負けてなるかと、私は大きな紙で表彰状を作った。
「表彰状
義理チョコの女王 ○○△△殿
あなたは、世界義理チョココンクールにおいて頭書の成績を収められましたので・・・」
Sさんは、二年生の時も三年生の時も、究極の義理チョコをくれて、私も知恵を絞って表彰状を作った。
私の表彰状を、今も大事にしてくれているそうだ。
今日、何度か練習したあと、仕上げの演奏を聞く。
家内と、長女と並んですわった。
久しぶりである。
Sさんが、私たちを見て笑って言った。
「こういうのも、今日で最後なんですね」
ぐっときてしまった。
思わぬところから、ぐっと来るものである。
披露宴での合奏、花嫁の父、だいじょうぶかな。