朝刊の本の広告。
白水社刊。「フラ語入門。わかりやすいにもほどがある!」
長い題である。
「フラ語」とは、聞きなれない言葉だと思ったが、フラダンス語のことであろう。
フラダンスは、メロディに乗せて、物語を踊るダンスである。
歌詞で語るのではなく、踊り、すなわち身体の動きによって語る。
手話の一種とも言える。手話は、手を使って語るのだが、フラダンスは、手はもちろんのこと、身体全体を使う。
単純な事物を指すことから、かなり複雑な抽象的概念を表すことまでできる。
手をヒラヒラと波のように動かせば、「波」であるし、同じヒラヒラでも、風のように動かせば「風」である。
自然の風のように動かせば、自然の風だし、扇風機の風のように動かせば扇風機の風である。
手をヒラヒラと、蝶のように動かせば、「蝶」であるし、蛾のように動かせば「蛾」であるし、ヒラヒラと、カモメのように動かせば、「カモメ」であるし、アホウドリのように動かせば「アホウドリ」であるし、オオミズナギドリのように動かせば、「オオミズナギドリ」であるし、ミソサザイのように動かせば「ミソサザイ」であるし、アフリカハゲコウのように動かせば「アフリカハゲコウ」である。
では、ハチドリのように動かせば「ハチドリ」という意味なのだなと思うのは愚かな人である。動かせるものなら動かしてみろ。
「フラ語」の辞書に「ハチドリ」という文字はない。
お尻を左右に振ると、「しりません」という意味になるし、お尻を無茶苦茶に振ると「シリメツレツ」という意味になる。
ここまで書いてきて、もう一度広告を見ると
「フラ語入門。わかりやすいにもほどがある!」驚嘆のフランス語入門!
と書いてある。
「フラ語」とは、フランス語のことなのか。
わかりにくいにもほどがある。
えーかげんにせーよ。